台風など自然災害で通勤時の電車が止まる「計画運休」で、首都圏は大混乱となりました。計画してるのに?なぜ大混乱するのでしょうか。また災害時も勤務させる企業ってどうよ?という就活学生の疑問も浮かんでいます。
1.計画運休は失敗なのか?
大規模災害でも、台風のように事前予測ができるものであれば周到な準備ができます。JRなど首都圏運送機関が計画運休を決めるのはきわめて道理にかなうといえます。
しかしその設定、JR山手線は「8時まで運休」という対応は良かったのでしょうか?当日私は8:30に用があり、8時まで運休なら大丈夫かとも考えました。しかし実際に山手線が動き出したのは10時15分。普通なら30分かからない先にですが、山手線で行こうと思わなかったのは成功でした。(結果地下鉄は十分動いていたのですが)
計画運休は失敗では無いと思いますが、対応として「8時」を挙げてしまったことは失敗ではないかと考えます。8時だと、当初の私のように「何とか会社(アポ)に間に合う」と考えかねない時刻です。これを「午前運休」と発表し、どのみち通常出勤は無理だという判断材料を与えておけば、津田沼駅はじめ各所で起こった駅前大行列も少しは減らせたのではないでしょうか。
前代未聞の大きな被害をもたらす台風ですから、十二分に時間を取っておき、結果として午前10時15分再開になったのならば、むしろ良くやったと利用者は感じると思います。JRの特に現場技術者の方が一生懸命努力して下さっていても、8時といっておいて大行列、大混雑となれば怒りが沸いてしまうことは容易に想像できます。
2.会社の指示はあったのか?
一方、罪は運輸機関だけでなく、そもそも通勤すべき会社にも責任はあります。当日電車が止まるので前日ホテルに泊まったという声もあります。するとその宿泊費は誰が持つのでしょう?JRは止まっても、地下鉄私鉄バスを乗り継いで出勤した人もいるとのこと。その余分に負担した交通費はどうするのでしょう?
運輸機関だけでなく、会社側も事前に当日の出勤について判断する準備ができます。先の、「8時まで運休」という情報をどう解釈するか、会社の姿勢を見ることができるでしょう。会社が判断できなかった、間違ったのであれば、一般人が判断できないのは当然です。駅前大行列の責任の一端というか、半分は会社にもあるのではないでしょうか。
こうした交通の混乱はすでに十分経験済みのはず。もう少しJR発表を割り引いて準備するなど、対応は取れたのではないかと思います。最悪な対応は「すべて社員に任せる」ことです。出勤義務を課しているのは会社なのに、その判断を任せられても、社長ならともかく、社員はどうして良いかわかるはずがありません。
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2019.11.11
2009.02.10
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。