3人の子持ちである熊田曜子さんが、墨田区の児童館の中の施設に入ろうとしたところ、「親一人に子は二人まで」という規制で入れない事件がありました。融通の利かない施設への批判が出ていますが、制度運営側とユーザー側の折り合う点はあるでしょうか?
1.事件発生
3人のお子さんを連れ、墨田区東向島児童館分館という児童館に行った熊田曜子さん。しかし施設の中にある、できたばかりの「すくすくルーム」という設備は、13組の親子(子供は5歳まで)が1時間で入替え制というもののようでした。様々な遊具を利用できるためにも入替えは必要なようで、何かトラブルがあれば大騒ぎになって安全管理責任にうるさい昨今、これ自体著しく理不尽なものとは思えません。
一方、少子化の中、3人も子を持つ親が利用できないとは何事だ!という墨田区への批判は盛り上がっているようです。本件は当事者の熊田さん自身が事前の注意不足であることを認めていますが、ネットニュースになったことで墨田区側への批判はまだ収まっていません。
確かに2人はOKで3人はダメというのも融通が利かない気がしますし、少子化時代にたくさん子供がいる親を優遇すべきではないかという意見はもっともです。しかしサービス提供者とユーザーの関係性から見るなら、ここには提供者から一線が引かれなければなりません。
2.ホテルコンシェルジェと立食いそば屋のおばちゃんのサービスは同じ
映画などでの高級ホテルのシーンでは、ロビーのゴージャスなソファでホテルのコンシェルジェが丁寧に大富豪に対応している光景を見たことがあります。一方私が泊まる時はせせこましくフロントでインターネット予約番号をスマホで探したり、ポイントカードを財布からあわてて探したりですが、きっとコンシェルジェがいればさまざまなサービスを提供してくれるのでしょう。ぜひ「この手紙を〇〇さんに届けて。バラを添えて」のようなサービスも頼んでみたいものです。
実際にコンシェルジェを使ったことがないので、どこまでのサービスに応じてくれるのか知りませんが、大金を使ってくれる大金持ちには徹底したゴージャスなサービスを提供するのは、ハイペイ・ハイサービスの典型です。一方、ポイント貯めて割引料金で泊まろうとする私には料金分最低限でのサービスをということで、これぞサービスの基本です。コンシェルジェの真裏に位置する、立食いそば屋も正しいサービス提供だといえます。安い売価での商品提供に沿った、価格相応のサービスを提供しているからです。立食いそば屋で、そばのゆで方や蕎麦湯の温度に文句を言う方が悪いのです。
つまりハイペイ・ハイサーピスも、逆のローペイ・ローサービスも、どちらも経済の原則として正しいものです。
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。