内閣総理大臣表彰である日本最高峰のサービス表彰制度の日本サービス大賞。2015年に立ち上がり、今年第2回の受賞サービスの表彰が行われました。第1回の受賞サービスとは一味違う顔ぶれとなった今回。日本の優れたサービスから、業界を越えて活かせるポイントを当連載の中でひも解いていきたいと思います。
6月28日に、ANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区赤坂)にて、第2回日本サービス大賞の表彰式が開催されました。表彰式では、安倍総理をはじめ各大臣、JETRO理事長、日本生産性本部会長より、約400件の応募の中から選ばれた18の優れたサービスに対して表彰状が授与され、業種や地域、規模を越えた優れたサービスに注目が集まりました。パーティー会場には、各受賞サービスを紹介するパネルが掲示され、会場に訪れた様々な業界の方々と受賞組織の代表者が交流する様子から、優れたサービスがこれからの日本経済をけん引していくことへの期待感の高まりを感じました。
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今回受賞した18件のサービスは、第1回目の31件とは一味違う顔ぶれとなりました。この記事の最後に、第2回日本サービス大賞の18受賞サービスを一覧にしてあります。第1回日本サービス大賞の受賞サービス同様に、筆者独自の視点で今回受賞したサービスを紐解くことで、業種やジャンルの枠を越えて優れたサービスから自社サービスを高めるためのヒントを得ていただければと思っています。そこで今回は、受賞サービスの中から特徴的な点を少しだけご紹介したいと思います。
内閣総理大臣賞を受賞した三菱地所、地方創生大臣賞の大垣共立銀行、島根電工などは、自社の事業を「サービス業」として再定義することで、サービスの価値を高めることに成功しています。これは、第1回日本サービス大賞の内閣総理大臣賞を受賞したJR九州の「クルーズトレイン『ななつ星in九州』」と通ずるところがありそうです。
今回から加わったJETRO理事長賞を受賞したのは、職人技の領域を科学することでしくみ化し、海外での事業展開に成功したQBハウスを展開するキュービーネットホールディングスです。他にも、日本流サービスのグローバル展開の成功事例として有名なヤクルト本社(経済産業大臣賞)も受賞しています。日本の優れたサービスをいかにしてグローバルに展開するのか、その取り組みへの注目度の高まりを感じます。
「縁の下の力持ち」から「表舞台」へ。サービス事業者の中には、自分自身の役割を限定的に捉えてしまい、サービスの価値を高めることを諦めてしまっているケースが多々あります。今回、その枠から抜け出して、「表舞台」に打って出ることで優れたサービスを実現したのが、国土交通大臣賞を受賞したJR東日本テクノハートTESSEIです。従来の枠組みを超えたサービスという点で、優秀賞を受賞したマンション管理会社の東急コミュニティーとも共通点がありそうです。
service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
2022.10.17
2022.10.17
2023.03.07
2023.03.13
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新