いざサービスの価値を高めて競争優位を築こうと思っても、いったい何から手を付けたら良いのか分からなくて苦戦することが多いものです。そこで当連載では、ワンランク上のサービスを実現するために、目に見えないサービスをロジカルに捉えることで、その本質や努力のポイントを明らかにしていきたいと思います。
続いて「生産」です。製造業では「生産」にお客様は直接的には絡んでいませんでした。しかしサービスは「お客様と一緒に作るもの」。ここに、製造業とサービス業の極めて重要な違いがあります。
そして「評価」です。製造業では、製品を見たり、触ったりして、納得して購入します。一方でサービスは見えないので客観的な評価が難しい。なので、サービスを受けてみないと分からなかったり、他人の意見に流されやすいという特徴も見えてきます。
このように、「材料」、「生産」、「評価」のたった3つの視点で製造業とサービス業を比較しただけでも、お客様に喜んでいただくためには、製造業とは全く違った価値観でサービスを提供しないとお客様には喜んでいただけないことが分かります。
しかし実は日本のサービスのほとんどが、製造業的価値観で提供されているのです。
製造業的価値観で提供されている日本のサービス
つまり、「良いサービスは喜ばれるに決まっている」と思い込んで、勝手に作ったサービスをお客様に一方的に押し付けていることが非常に多いのです。「勝手に作ったサービス」には、「余計なお世話」や「無意味行為」「迷惑行為」などが含まれてしまいます。これでは、お客様に喜んでいただくことはできません。サービスの本質を理解して、サービスでお客様に喜んでいただくための価値観や考え方を持たなければならないのです。
そこで次回は、サービスの定義を理解することで、サービスの本質とは何かを明らかにしてみたいと思います。
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service scientist's journal(サービスサイエンティストジャーナル)
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新