面接の質を高めるために人事担当者が取り組むべきこととは? 連載記事「ダメ面接官の10の習慣」では、ダメな面接官に共通する特徴を取り上げながら、面接の質を向上させ、採用力を高めるためのノウハウをお伝えしていきます。第1回でご紹介する習慣は「ダメ面接官は明確な評価ポイントがない人を不合格にする」です。
面接とは、成果の見えにくい仕事である
面接という仕事の特徴の一つに、「成果の曖昧さ」があります。面接は基本的に、候補者を合格とする(採用または次の選考へ進ませる)か、不合格(不採用)とするかの二択。しかし、そのジャッジが本当に適切だったのかは時間がたってもわかりにくいものです。大器晩成という言葉もあるように、採用した人材が入社後1~2年は期待した成果を出せなかったとしても、それだけで採用ミスとはいえないでしょう。
一方、不合格とした候補者に関してはさらにわかりません。もし、能力ある候補者を不合格としたとしても、それによる自社の成長機会の損失を確認することはほぼないからです。
面接官の心理は「落とすほうがラク」
そう考えると、面接官は「落とす(不合格とする)ほうがラク」です。たとえば、ある候補者を次の選考に進ませると、次の面接官に対する説明責任が生じます。候補者のどの部分を評価したのかを、面接で得た事実に自身の見解を加えて説明しなければなりません。
しかし、人間とはそもそも曖昧な存在ですから、100%の確信を持って合格させることは滅多にないでしょう。多少迷いつつ、「どちらかといえば良さそうだから合格させよう」と判断することも珍しくありません。面接で合格の判を押すには、少なからず「賭け」の要素が含まれているといえます。
一方、不合格にしてしまえば話は簡単です。不合格とした理由を深く追求されることはあまりありません。また、2次選考以降で不合格とする場合は、前の選考で候補者を合格とした面接官と意見のすり合わせを行うこともありますが、前の選考を担当した面接官は自分よりも職位が低いケースが多いため、負荷はそれほど大きくないでしょう。こうしたことから、面接は「落とすほうがラク」なのです。
採用力の高さは、どれだけ「原石」を拾えるかで決まる
このような心理的背景から、面接官は「合格させたくない」という思考に陥りがちになります。過去の実績や属性といった明確な評価ポイントから「良い人材です」と胸を張って言える候補者でなければ、不合格としたほうが無難と判断してしまうのです。しかし、明確な評価ポイントを持つ候補者の評価は誰にでもできるため、そんな候補者“だけ”を合格させていては、競争の激しいレッドオーシャンで採用活動しているようなものです。採用競合が強ければなかなか採用できず、結果的に採用力が落ちてしまうのです。
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