絶景と露天風呂、そして手抜きの宿

画像: Latin Discoveries

2018.04.18

経営・マネジメント

絶景と露天風呂、そして手抜きの宿

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

絶景と野趣を楽しめる山頂のホテルは旧公共の宿。絶好の環境と露天風呂を台無しにする手抜きの数々が気になった。

その地は大きな湾が特徴的だ。遠くに半島がぼんやり見え、近くに複数の島が海上に浮かぶ風景を湯舟からも眺められることで人気の、伝統的な観光地だ。しかしバブル崩壊に抗うように進められた開発の一環で、湾のど真ん中の海浜を埋め立てて建設された人工的な大型リゾート施設を皮切りに、リゾートマンションや商業施設の建設が進んでしまったせいで、今や湾沿いの中心地域は容貌を変え、本来の情緒はまったく無くなってしまっている。

そこにある温泉の一つは湾の近くではなく山の上にあって、前述のような「海と湯舟が一体化している」ような感覚は得られないが、露天風呂や夜景などの評判がよいので、出張のついでに小生も足を延ばして泊まってみた。

そのホテルは山頂近くにあり、鬱蒼とした森を越えたはるか眼下に町全体と湾と半島を見下ろす、素晴らしい眺望の地にある。送迎バスに揺られながら想像した光景が、デッキから観ると本当に目の前に広がるのだから、わざわざ来た甲斐があったと感じたものだ。そして部屋に入ってみても窓からはやはり素晴らしい緑と青の対比を臨めた。

値段に比べて部屋の作りのしょぼさは確かに少し気になった。調べてみるとなるほど元々は「Kの宿」ということで、部屋は狭くはないが古臭い構造デザインだ。民間会社が買い取って、畳や天井、壁紙など目立つところだけ改装したのだろう。

例えば部屋付きの便所にはシャワートイレが設置されてはいたが、洗面所に掛けてあるタオルはゴワゴワで、しかもハンガーの位置が低いため、だらしなく手前に垂れている状態だ。きっと「Kの宿」時代から同じなのだろう。

最も残念なのは、柱や木の調度についた無数の傷をそのままにしているため、表面が少々白けて余計に安っぽく見えることだ。ステインやワックスなどの塗料を塗るだけでコストの割に一挙に高級感が出せるのに、と残念に感じた。

しかしホテル自慢の露天風呂は別格だった。建物の屋上に加設されたもので、山頂からの景色を湯舟から眺めることができる造りになっており、絶景と野趣が入り混じった感動を与えてくれる(ちなみに寒風吹きすさぶ冬には背の高い人には肩が寒いかも知れない)。夕方になって一人風呂の際に小生も堪能させてもらった。

その日は夜になると曇ってしまったので目にすることはできなかったが、晴れた夜には眼下にある街の夜景と対比された満天の星空を堪能することができるそうで、これが同ホテルの人気の秘密だ。小生は行っていないが大浴場からもガラス越しによい眺めが得られるようだ。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。                     ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/                 ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/     

フォロー フォローして日沖 博道の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。