東京都中央区立泰明小学校の和田校長による、高級ブランド・アルマーニ標準服導入騒動は、ほぼ批判一色の反応を受けています。区立小という公的存在と、校長個人の思い入れ(思い込み)がごっちゃになった、組織における意思決定の失敗モデルといえるでしょう 。
本件は誰も担当者をかますことなく、校長が一人で発想し、一人でアパレル各社に打診し、一人で製作依頼をしたとのこと。はっきりいえばマーケティングのど素人が、それっぽい用語で何となく自身の思いを勝手に強行したとしかいえないと感じます。
お客ではないものの、唯一最大のスポンサーである中央区には、常に連絡・報告をしていたこと。それを錦の御旗に父兄をも説得したそうです。しかしこれはとうてい「お客様の声」でも同意とは呼べません。子供という、いわば人質を抱える学校長に、面と向かって批判できる父兄がいる訳がないはずだからです。「合意形成が足りなかった」のではなく、そもそも合意など取る気もなかったと言わざるを得ません。
つまり意思決定過程、合意形成過程というものを全く無視したのか、あるいはそんなことを考えもしないで、個人的思いが暴走したと判断されるべき事態だと思います。組織をつかさどる立場の責任が問われるのは当然でしょう。
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。