「酒離れ」は本当か? 「酔っぱらわない」飲みスタイル

画像: Jun K

2018.02.04

営業・マーケティング

「酒離れ」は本当か? 「酔っぱらわない」飲みスタイル

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

若者の酒離れが言われて久しいが、「飲酒・外食」に関するニュースは相変わらずで、食スタイルの変化は続いているが、喫茶、居酒屋などの売上は減少している。いかにお金を遣わず飲むかに進んでいるのか。

ハイボールとなると、ちびちび飲むウィスキーの印象とは程遠い。アルコール度数も控えめで、バーでじっくりウィスキーをたしなむというよりは、居酒屋やカフェで気軽に飲む場面のほうが良く似合う。

それどころか、これまでお酒のイメージとは程遠かった店舗でも、少しずつお酒が進出している。お酒を飲むのは、すでにいわゆる「飲み屋」だけではない。

スタバでもお酒が飲めると話題になった「ネイバーフッド アンド コーヒー」もそうだし、ケンタッキーフライドチキンでもお酒が飲める店舗があり、なんと「カーネルハイ(460円)」というサントリーと共同開発したオリジナルのハイボールもある。TVコマーシャルではないが、「鳥にはハイボール」ということなのだろう。

本屋でお酒が飲める下北沢にある「B&B」は「book&beer」の略で、ビールを飲みながら本を読むという新たな過ごし方を提案している。

飲む場所だけではなく、飲む「時間」にも変化がある。かつて、お酒は早くても夕方5時からというイメージだったが、いまやファミレスに入っても、昼間から飲むことができる。しかも17時までのオーダーだと安い。主婦層やおひとり様客を中心に人気のようだ。

都心では、以前から欧米人がスーツ姿で昼間からビールを飲んでいるところはよく見たが、最近では、日本人も負けじとおしゃれなオープンカフェで昼間から堂々とビールを飲んでいる人を見かけるようになった。

これらは明らかに、これまでオヤジたちが居酒屋やバーで飲む、「酔っぱらう」ための酒とはスタイルが異なる。

オヤジたちにとって、もともと飲む行為は、コミュニケーションを円滑にするためのもので、昼間のストレスを発散する、自分の気持ちを聞いてほしい、という動機がほとんどだが、「ちょい飲み」にしてもカフェでの「軽飲み」にしても、一人飲みが中心で、基本「酔っぱらわない」酒だ。

若者の酒離れは、お金を回せないという現実的な問題もあるだろうが、酔ったオヤジのカッコ悪さへの嫌悪感もその一部にあるのかもしれない。

酔わないとなると、アルコール度数が少なく、全体の酒類販売にはマイナスかもしれないし、売り上げ増にはなかなか結び付かないだろうが、仮に飲む機会減少した人たちがこうした新たな場所や時間でアルコールに触れる機会を受け入れるのであれば、「酔わない」酒の飲み方を提供しなければならなくなる。

「酔いたくない」若者へどうアプローチするのか、業界の挑戦は続く。

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