このところ、IT業界だけではなく、サービス業、メーカーなどにも、このASPやSaaS的なサービスが急激に広がりを見せている。大手企業がこうした従量課金、コトの提供に動く中、本当に危機感を持って取り組まなければならないのは、中小企業だ。
さまざまなサービスがモノからコトへの転換期にきている。クラウドという概念が、様々なビジネスモデルの転換を引き起こした。
言い尽くされたことだが、以前はサーバーを持つということは、自社内にハードウェアの設備を置くことだった。どの会社にもサーバールームがあり、アンタッチャブルな領域として存在していた。
ところが、クラウドのサービスにより状況は一変。ハードディスクの低価格化もあったが、Webサーバーにしても、ファイルサーバーにしても、企業は高額な設備投資をすることなく、自社のサイズに応じたサービスをゼロが二つぐらい違う価格で利用することができるようになった。
加えて、ASPやSaaSによるサービスの提供は、サービス自体をクラウドで利用できるようになり、場合によっては高額なシステム開発も不要になった。
クラウド化がメーカーにも広がる
これはひとつの従量課金のモデルと言えるが、このところ、IT業界だけではなく、サービス業、メーカーなどにも、このASPやSaaS的なサービスが急激に広がりを見せている。
結果保証や単なる定額制のサービスはこれまでも存在していたが、ITの技術進歩によってリアルのビジネスモデルを変革させ、新しい製品の提供モデルが次々と登場しているのが新しいところだ。そして、これまで、モノとしての納品しかしてこなかった、資材関連でもビジネスモデルが明らかに変わっているという。
資材や原材料というのは、基本的にどう使うか、どう付加価値をつけるかは、ユーザー側に委ねられており、ビジネスモデルも「キロいくら」「トンいくら」「㎡いくら」の世界だった。
それが昨今、資材や原材料を供給する側も、ユーザーの活用状況にあわせて、使った分だけ費用をもらうという従量課金に移行している企業が現れ始めている。
日刊工業新聞によれば、セメント世界大手のメキシコ・セメックスは、使用量を監視するシステムを導入することで、月額サービスのビジネスモデルを始めたという。
日本でも、物流施設の供給で日本のトップ企業のひとつである大和ハウス工業は、これまでの施設建設、あるいは賃貸料金のビジネスモデルに加えて、物流施設の従量課金制度に取り組もうとしている。
AIやビッグデータの活用によって計画精度を上げることで、ロスのないマテハンやロボットなどの供給が可能となり、ユーザー側からすれば、設備投資が不要の物流施設活用が可能となるわけだ。
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