就職でも転職でも履歴書は必ず必要です。ヘッドハントの場合ですら、よほど高名な人物を三顧の礼で迎え入れるという超特別待遇の採用でもなければ、入社書類として履歴書は必要となるでしょう。履歴書を書く場合、定型フォームを使いますか?写真欄にはどんな写真を貼りますか?いや、写真は貼りたくないという人もいるのですが、どうなのでしょう。戦略コミュニケーションの視点で考えます。
中には職歴が多かったり、一度社会に出てから大学院に留学した私などもけっこう学歴欄の行数が必要だったりします。(外国の大学だと大学名や研究科名、学位名が長い)こんなオリジナル対応にも、職務経歴書は適しています。私は自分の担当事業やプロダクト、サービスの成果をグラフにしたり図にしたりしてアピールする場合も、こうした自由フォームを活用しました。
履歴書の目的は正確な履歴情報を伝えることにありますから、職務経歴書と明確にその使途を分けて作成する必要があります。逆に職務経歴書は表層的な所属企業名や部課名ではなく、どこでどんな仕事を、どのように展開したのかという具体的な情報を説明するものですから、事業内容によっても説明の仕方や情報は異なるのが当然で、自由書式の優位点に合致します。
4.履歴書に写真は貼るべきか、貼らないべきか
答えは「絶対貼る」です。
もちろん法的には強制されるものではないので、断固拒否する権利はどなたもあります。海外では人種や年齢で採用を左右することが禁じられているため、写真は貼ってはいけないとされる国もあります。しかし日本では写真を貼ることを強制はできないものの、貼った方が明らかに有利です。
なぜ写真を貼るべきかと言えば、自分のイメージ訴求のためです。履歴書でも職歴書でも、データによってある程度、ご自身のキャリア情報は伝えられます。しかし単に伝えることがこうした書類の目的ではなく、たくさんの候補の中から自分1人だけが選ばれることが目的です。「たった一人選ばれる」ため、そのイメージをアピールするのは当然有効だからです。当然良い印象になる写真を貼ることで、この目的は達成されます。
私は長年その都度プロのカメラマンさんに撮ってもらった写真を使ってきました。ビジュアルに自信がないからこそ、少しでも良く写ることは十分投資に値すると考えます。外国風にニッコリ笑う写真はまだメジャーではありませんが、もしご自分のインターナショナルなバックグラウンドをアピールしたいのであれば意図的に笑顔にする。逆にドメスティックな重厚さを出したい時にはくそまじめな写真を使うなど、アピール目的によって使い分けることができます。
結局履歴書問題も戦略コミュニケーションの一環として、その目的達成が何であるかという視点で考えることで、選択は絞られるといえるでしょう。
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2019.05.07
2015.07.17
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。