他社事例をそのまま真似ること、典型的BSC構造に無理矢理押し込むこと、KGI/KPIからブレイクダウンすること。KPIツリー図一つとっても、本質的でないやり方に走ることになりがちだ。形から入るのではなく、まずは「そもそも何のため」から考えよう。
以下は最近の営業プロセス改革プロジェクト(以下、PJTと称する)での出来事だ。
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改革後にモニタリングすべきKPIを考えようとなった際に、PJTメンバーの一人が「たたき台」と称して、あるKPIツリー図を作ってきた。それがいわゆる典型的BSCの構造になっており(下から「学習と成長視点」「プロセス視点」「顧客視点」「財務視点」に区分)、いかにもすっきりとしており、しかも営業プロセス改革向けに尤もらしく見えた。
しかし所々今回のPJTでは使っていない用語や概念が入っていたので幾つか突っ込むと、「これはツールベンダーの事例集から戴いてきました」という。
その時にはそれはそれで参考として見る分には構わないと思ったのだが、そうでもなかった。その後、実際にKPIの素案を考える担当に指名されたメンバーは何度か具体案を出してくれるのだが(この会社はレベルが高いので、幾つかのパートでは各メンバーに素案を考えてもらっている)、えらく小手先の手直ししか出ず、皆がピンと来ない。よほど最初に目にしたKPIツリー図のインパクトが強かったのだろう。
そこで一旦、頭の中をリセットしてもらうため、そもそも何のためにKPIを設定するのかから説く資料を作って議論をやり直した。そうした多少の回り道はあれど、最終的には改革ビジョンを整理し、それに基づき議論し、モニタリングすべきKPIのツリー構造も出来上がった。ツールベンダーの挙げた例とは似ても似つかないが、このクライアント独自のKPIツリーが出来上がったのだ。
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大きな改革プロジェクトになればなるほど、少なくない数のKPIを構造的に設定することは必然となると小生は考えているので、ツリー構造を採ること自体に問題がある訳ではない。また、各KPIがいろいろな側面をカバーし全体としてバランスを執るというBSCの基本的考え方も正しいと考えている。
しかしKPIツリーに関連し、多くの営業改革/業務改革プロジェクトで問題だと思えることを三つほど挙げたい。
第一に、上述のプロジェクトのように関連の薄い他社プロジェクトのKPI例を鵜呑みにして似せてしまうのは馬鹿げている。他社は他社、自社は自社だ。
第二に、典型的BSC構造を盲信するのも危険だ。「学習と成長視点」「プロセス視点」「顧客視点」「財務視点」の4区分はかなり汎用的なことは認めるが、必ずしも大半のプロジェクトで通用する訳ではない。
営業改革
2016.04.13
2016.03.16
2016.03.02
2016.02.10
2016.02.03
2016.01.27
2016.01.07
2017.10.31
2017.11.22
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/