経営戦略の基本的な内容を解説していく内容です。構文という意味はバラバラに読んでもそれなりに意味がわかって読める、定型化されているということですが、読み物としてもそれなりに読めることを目指します。
そもそもね、体験として欲するから、何かしら買うということになるわけですよ。体験として欲するということと、それを「モノ」や「サービス」で企業が実現することには乖離がある。ここを忘れるとうまくいかない。しかし、人はそれを忘れ、既存の商品機能をグレードアップする方向に向かってしまう。それが体験を満たすということを忘れるんです。
ピントのズレた方向へのグレードアップが後を絶たないのは、商品機能にフォーカスして考えているからですね。そして、体験にフォーカスして考えることがアカデミックな教育というか、科学的な教育を受けた人には難しいんですね。現象学的なんです。どちらかというと、現象学的に考えるには、古典力学的モデルと言いますか、そういう枠組みは有害ですから。
そして、もう1つの間違いは、人にフォーカスすることです。人の属性にフォーカスして、セグメンテーションを行うことの誤りをクリステンセンは厳しく批判しています。
人にフォーカスするからセグメンテーションで間違えるし「意外と一人の顧客にフォーカスした方が、売れる商品ができる」という話が出てきてしまうんですね。状況にフォーカスすればセグメンテーションは有害ではないし、素直に発生頻度の高い状況にフォーカスしてたくさん売れるだけです。
クリステンセンは状況にフォーカスしろ!と言っています。そのジョブが発生する状況にフォーカスして、その状況に対して解決策としての商品、サービスを提供するわけです。ただ、人はあくまで一時的に商品、サービスを雇用するだけですから、代替品があれば、すぐにそっちに行ってしまう。
だから、この枠組みで考えれば、ジョブが発生する状況についてフォーカスして商品の企画・開発を行うことができますね。既存の商品、サービスにフォーカスしないでいられる。だから、破壊的イノベーションを起こすことができる。
そうです。破壊的イノベーションの種は、状況に発生しているジョブと、その解決に一時的に雇われている商品の提供する解決策のズレにあるわけです。商品がジョブにぴったりはまることなんてありえませんからね。ズレは必ずある。そのズレを見付けられれば、イノベーションを考えるきっかけになるわけです。
これはエクスペリエンスへのフォーカス、商品やサービスのパッケージ化、ジャーニーの提供という枠組みが正しいことも意味しています。ただ、このあたりは書いてもほとんどの人がわからないのでやめておきましょう。
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THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役
THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。