成長市場ゆえに競合も多い。そんな中に“me, too”と後追い参入してもうまくいくことは少ない。そんな新規事業の立て直しには有効な差別化戦略もしくは思い切ったビジネスモデルの工夫が不可欠だ。
できれば競合他社が気づきにくい形で実現しておくと、「いつの間にか独自の地位を築いている」という状況に持っていきやすい。例えばある地区のリフォーム会社は後発だったが、特に目立った宣伝(チラシ広告など)はせずとも、小口の相談を積極的に引き受けることで、信頼を勝ち取った地域住民の口コミにより地域シェアがダントツになっている。
また、思い切ったビジネスモデルで展開することで、先行企業およびその他競合とは違う土俵で戦うやり方もあり得る。それが効果的である場合、業界リーダーの地位に取って代わる成功を収めることさえ夢ではない。
例えば楽天の天下だと考えられていた通販モール事業に、出店料無料という思い切ったやり方で逆転したYahoo!ショッピングの成功例は記憶に新しいだろう。また、駐車場ビジネスによる地主関係性と土地調達力を梃子にしたタイムズカープラス(企業名はパーク24)は、レンタカー事業による新車調達力をベースに先行したオリックス自動車を逆転し、今やカーシェアリング業界ではダントツのトップである。
つまり、新規事業として残念な形で参入してしまっても、立て直しや逆転の道がないわけではない。ただ言わせてもらえば、新規参入する際によく戦略を考えておけば余計な苦労をしなくても済む。有効な差別化戦略のない“me, too”式の新規事業参入は避けるのがやはり賢明だ。
経営・事業戦略
2016.10.12
2016.10.19
2017.01.11
2017.02.15
2017.03.22
2017.04.26
2017.05.17
2017.05.31
2017.07.24
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/