上場企業の決算発表は、これから本格化しますが、東証HPで掲載されている決算発表スケジュールからは、4月中に決算発表を予定している企業は、わずか19%に留まります。企業会計の透明性/健全性を早期に開示する能力は、コンプライアンス/IRの観点から求めらますが、スピード経営を図る上でも重視されるべきでしょう。
決算早期化が求められる外的背景:
改正金融商品取引法が施行され、早ければ、2009年度3月期決算からその適用が求められる企業も多く、いわゆるJ-SOX法への対応という内部統制レベルの向上を図りながらも、四半期報告書を決算後45日以内に提出しなければならないとう、「質」と「スピード」の両面が求められる厳しい現実があります。上場企業にとって、もはや、決算早期化へ向けた活動は企業経営において重要な課題と認識されている状況と言えます。
2007年4月2日(第一営業日)に決算発表を行った3社については、プレスでも大きく取り上げられており、日々の財務活動の透明性/健全性、ひいては企業経営能力の高さの現われとして評価されていることは記憶に新しいでしょう。
下図は、東証HPに掲載されている決算(一部中間決算含む)発表スケジュールをチャート化したものです。
『決算後、年度45日、四半期30日を目処に短信発表を行う』という東証の適時開示制度(予定)を既に視野に入れ、4月末、5月15日に発表のピークが見て取れます。比率としては、約19%の企業が4月中(30日以内)、約72%の企業が5月15日(45日以内)までに決算短信の発表を予定しています。逆に捉えると28%の企業は、将来的な東証の要件を満たせていない状況にあり(今はまだ大丈夫ですが...)、内72社は決算発表の予定すら報告できないでいます。
実際に期日内での開示が出来ずに「監理ポスト」入りしてしまった企業があることも皆さんの記憶にあると思います。
決算早期化が求められる内的背景:
「決算発表早期化は好調の証?」という興味深いレポートが昨年の日経NEEDSであるように、決算発表のタイミングと企業の業績には、ある程度の相関性があるようです。これは、企業活動の結果、好調だから早期に発表するといった類ではなく、早期に発表できるほど、経営管理/コーポトレートガバナンスが上手く機能しているという結果の現われでしょう。
経営環境は日々刻々と変化しており、自社の決算数値が一ヶ月以上経っても把握出来ない企業と、直ぐに把握できる企業では、意思決定/舵取りの判断材料が違い、対応が後手に回る結果、業績に差が出るこということは容易に想像できます。
また、たとえ法的にぎりぎりコンプライアントな発表スケジュールを担保したとしても、IRの観点からは、一日でも早いリリースが望ましいでしょう。
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