「お客様は神様です。」というのは故三波春夫氏の有名なフレーズですが、最近はサプライヤの重要性を考えると「サプライヤは神様です。」の時代になってきました。でもモノやサービスを購入する相手の呼び方である、この「サプライヤ」という表現、もう少し考えていく必要がないでしょうか。
「お客様は神様です」
故三波春夫さんのたいへん有名なフレーズですが、Webサイトなどで調べてみるとこのフレーズの真意とはこういうことのようです。三波春夫さんがここでおっしゃっている「お客様」とは自分の歌や演奏を聴いていただく客席にいる皆様のことであり、「あたかも神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な芸を見せることはできないから、お客様を神様とみて歌を唄っている」と。また、演者にとって「お客様
を歓ばせるということは絶対条件であるからお客様は絶対者、つまり神様なのだ」ということです。つまりお客様は神様なのだから何をやっても許される、というような意味で使われたのではないということ。
いずれにしても非常に興味深い言葉です。
一方で私も何回もメルマガ等で取り上げてきましたが、昨今の調達購買ではサプライヤマネジメントとかサプライヤ囲い込みとか、有力なサプライヤの力を活用して、自社の競争優位を確保することが当たり前な世の中になってきています。
つまり「サプライヤは神様です」の時代に入りつつあるのです。
サプライヤというのは日本語にすると供給者ということですが、このような時代には、この「サプライヤ=供給者」という言葉自体があまり良い表現ではないと感じます。考えてみるとこのサプライヤと言う言葉自体最近使われ始めた言葉です。それまでは「業者」とか「仕入先」という言葉を使っていたのではないでしょうか。
このモノやサービスを購入する相手を表現する言葉ですが、販売する相手を表現する「お客様」や「顧客」、「クライアント」という言葉に比べると、とても多くの言葉が使われていることに気がつきます。
ちょっと上げてみましょうか。
(製品系)
「サプライヤ」
「メーカー」
「部品メーカー」
(取引先とは限らないが)
「OEM」
「ODM」
(販売、システム?系)
「ベンダー」
(請負?系)
「外注(先)」
「出入り(先、業者)」
「下請け」
(昔から使われていた?系)
「仕入先」
「業者」
「(お)取引先(様)」
(ちょっと大袈裟な感じ?系)
「(ビジネス)パートナー」
ここには例えばSI(システムインテグレーター)の様な業界固有で使われている言葉は入れていません。それでもここに上げただけで10以上の言葉が上げられます。
これらの言葉の使い分けですが、同じ企業内で複数の言葉、呼び方を使い分けしていることはあまりなく、むしろ業種、業態や個々の企業毎に言葉が異なるというのが実態でしょう。
公共や一部の企業では未だに「業者」とか「出入り業者」とかが一般的かもしれません。
また、丁寧語として比較的共通に使われる言葉は「お取引先様」なのでしょうが、これは本来自社のモノやサービスを売るお客様側にも使える言葉です。丁寧語ではあるものの、私は「お『取引』してやっている」感を感じてしまいます。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。