現在のSDGsベンチャーのスケールに求められるエコシステム構築力。 ファッション/ビジネス/エシカルが重なり合う領域で事業を行う、エシカルファッションブランドINHEELS(インヒールズ)の活動をご紹介する。
現在私が担当している法人事業では、企業などの各種法人を顧客とした、ユニフォームや館内着といった法人向け衣類、販促物の受注を行っている。少し古いデータになるが、マーケットリサーチを行う矢野経済研究所によれば、ユニフォーム市場は若干ながら成長しており、事務職向けのような機能性第一の衣類ではなく、デザイン性の高い「おもてなしウェア」(オリンピック需要も背景にある)のような、顧客対応時に使用される制服のニーズは高い。CSR・CSVを重視する企業も増える中で「エシカルでスタイリッシュな制服」を通した社会貢献×ブランディングというニーズは高く、シリコンバレー在住のベンチャーサポートの専門家からも、「ビジネスモデルとしてスケールする可能性がある」と言われる領域である。他にも、例えばブランディングコンサルタント、他企業の経営者、(ソーシャルに限らない)女性向けメディア、EC関連のテクノロジーベンチャーなど、事業スケールのために様々な方との連携・アドバイスをいただきながら前に進んでいる。
3、ソーシャルについて
上記のようにINHEELSはファッションビジネスのプレーヤーであるが、その目的は、ビジネスという方法を通しての社会的課題の解決である。アイテムの製造を大半をお願いしているネパールの工場、フォークネパールでは、従業員への適正な賃金、清潔な作業環境の実現はもちろん、近隣の小学校への制服の寄付、同地域初の歯科クリニックの設立、昨年の地震の際にチャリティーイベントを開催し金銭の寄付を行うなど、様々な施策を行っている。先日はノーベル平和賞受賞者の方の来日トークイベントに弊社代表が登壇したりと、エシカル/ソーシャルといった発想の重要性の啓発活動も積極的に行っている。
以上、INHEELSが重視している3つのコミュニティについて簡単にお話してきた。これらのコミュニティを越境しながら結びつけていくことで、少しずつだがINHEELSが中心となるエコシステムができ、ビジネスが上手く回り始めている手応えがある。この流れををこれからも加速していきたい。
しかし、実はビジネスをうまく回す以上に、強く意識すべきことがあると思っている。それは、これらのコミュニティをリソースとして活用する以上に付加価値を創出し、その活性化に貢献することである。
服が以前ほど売れなくなり、繰り返される大量生産・大量セールに疲弊している側面もあるファッション業界に対し、エシカルという考え方で新しい価値のあり方を提案する。
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2016.07.20