複雑に見える分析を有り難がる人は、個々の要素に対する「吟味の甘さ」に足をとられるリスクがあることに気づかない。
往々にして「分析好き」な経営コンサルタントや経営企画部門の人たちは、見掛けからして複雑な分析をより有り難がる傾向がある。これは「クロスSWOT分析」に限らない話だ。
しかしその複雑さは「要素の多さ」を意味するため、一つひとつの要素に対する吟味が甘くなりがちだという危険を忘れてはならない。見かけは恰好よくとも個々の要素がいい加減な分析では、総体として使い物にならないことは論を待たない。
上記のケースでは、プロジェクトチームはこの典型的な罠にはまってしまっていたのだ。大切なことは、一つひとつの要素をきちんと吟味して、しかも戦略策定作業全体として整合していることなのだ。
したがって小生は上記に挙げた注意点を伝え、「この会社が持つ特有の要素に注目して個々の環境分析をもう一度見直すこと。それにより、本当の『強み』を磨き上げることで差別化できるレバレッジポイントをもっとクリアに特定できるはず」と助言した。いくつかの「甘い部分」の具体的指摘と共に、周辺業界の動向もヒントとして付け足しておいた。
翌々週に改めて出てきた2次アウトプットは、随分クリアな分析、そしてユニークな仮説に進化していたことは言うまでもない。
新規事業
2015.08.06
2015.09.16
2015.10.26
2015.11.25
2016.04.27
2016.06.22
2016.07.27
2016.09.28
2016.11.23
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/