実行とは、指示されたものであろうが、自ら考えついたものであろうが、課題とニーズをとらえ、新たなプロセスのもと、ソリューションを遂行していくことだ。 つまり、ルーティンワークとは異なるビジネスプロセスを構築する必要があるのが実行ということになる。
まず、人が動くための最初のステップは、危機感、課題意識、問題意識の高さだ。人は何か解決したい問題があるから行動しようとするのであって、ビジネスにおいては、課題のないところにソリューションもなければ、解決策もない。
コッターが次に打ち出したのは、実行していくメンバーだ。人は1人では何も解決できないし、またモチベーションを保つのも難しい。コアとなる仲間を集い、グループをつくることで、問題解決に向かって意欲が高まっていく。
そして、到達する場所、問題解決の姿を明確にし、そのためのコアとなる戦略を策定する。この部分の行動だけをリーダーの仕事を思っている人も多いが、8つのアクセレータのうちの1つにすぎない。
4つ目は、志願者を増やすこと、つまり周囲を巻き込み、チームメンバーを増やし、役割を与えることになる。これによって、戦略を実行する組織ができたことになる。
5つ目は、リーダーとして障害物を取り除くことだ。障害物といっても、予算やリソースといったハードのものをあれば、心理的な障壁や人間関係、違うアイデアのほうが良く見えるといった心理的な障害まで幅広い。
リーダーとして、行くべく道を誤らないためにも、常に障害を取り除き、軌道修正を図らなければならない。
6つめは、メンバーのモチベーションを保つためには、早いうちに結果を出し、成功体験を皆で祝うことだ。
7番目と8番目は、変革のスピード、戦略実行スピードを維持し、体質化、習慣化することだ。
このように、成果を生み出すためには、プロセスを経ることが必要だ。いきなり何かが突然に生まれるわけではない。
逆に言えば、重要な戦略を実行するビジネス・パーソンは、自分だけの実行プロセスを持っているということだ。どうやら実行「できる」ビジネス・パーソンの要因はこのあたりにありそうだ。
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2016.04.23