連載「ダメ面接官の10の習慣」では、ダメな面接官に共通する特徴を取り上げながら、面接の質を向上させ、採用力を高めるためのノウハウをお伝えしていきます。第4回のテーマは「ダメ面接官は自分と似たタイプを評価する」です。
面接の質を高めるために人事担当者が取り組むべきこととは? ダメな面接官に共通する特徴を取り上げながら、面接の質を向上させ、採用力を高めるためのノウハウをお伝えする好評連載「ダメ面接官の10の習慣」。第4回のテーマは「ダメ面接官は自分と似たタイプを評価する」です。
>>【第1回】ダメ面接官は明確な評価ポイントがない人を不合にする
強烈な心理的バイアス「類似性効果」が面接の評価を偏らせる
人間は、「自分と似ている人に好奇心を抱く」という強い心理的バイアス(先入観)を持っています。これを心理学では「類似性効果」といい、採用の世界でも無意識のうちに「類似性効果」が表れているケースがままあります。
以前参加した人事の事例研究会で、「上司は同じタイプのパーソナリティーの部下を高く評価する傾向がある」という某グローバルメーカーの人事考課事例が取り上げられていました。公平・公正が前提にあるはずの人事考課ですら、「類似性効果」は表れてしまうものです。
採用も公平・公正が前提であるのは同じですが、「面接で優秀な人材を不採用にしてもバレない」「面接を通過させ採用に至った人材が結局良かったのかどうかの判定は、短期的にはできない」ため、人事考課以上に結果に対する評価はあいまいなものです。そのため、面接官各自の評価基準に「類似性効果」が強く働いていたとしても周囲にはわかりづらいものです。しかし、採用において「類似性効果」を気にせず放っておくと、「面接官は自分と似た人ばかり高評価にしてしまう」危険性があります。
会社は「あなたと同じタイプの人材がほしい」とは言っていない
求める人物像が一様で、組織にも統一感を求めていた、金太郎あめ的採用を重視していた時代ならいざ知らず、いまどきの会社は面接官に「あなたと同じタイプの人材を採用してほしい」とは考えていません。組織の創造力が企業間の競争優位性につながる現在においては「ダイバーシティ」が重要であり、組織に多様な人材が存在することが大切です。
また、これは私の実感ですが、採用担当者には優しい、寛容的な人が多く見受けられます。人事の仕事に就きたいという動機が「誰かの役に立ちたい」という場合が多かったり、そもそも人事という仕事がさまざまな人のビジネス人生における成長や活躍をサポートする仕事であったりするからかもしれません。しかしながら、寛容的な面接官が自分と似たタイプの人ばかりを評価し採用していくと、組織には寛容的な人が増えていきます。すると、寛容さの対極に近いところにある頑固さや執着心が組織から失われていくため、会社の文化として目標達成意欲が低くなりかねません。これは高い頻度で起こる、組織が死んでいく要因の一つです。
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