ALLIANCE(アライアンス)。主に国同士の同盟や企業間の提携を指す言葉です。2015年に発刊された『ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』は、そうした提携関係を、働く人と企業の関係に持ち込むことを説いています。シリコンバレーのハイテク新興企業コミュニティーで、どのように“働く人と企業のアライアンス”が成立しているのか、日本の労働社会にも参考になる本書のエッセンスを紹介します。
ALLIANCE(アライアンス)。主に国同士の同盟や企業間の提携を指す言葉です。2015年に発刊された『ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用』は、そうした提携関係を、働く人と企業の関係に持ち込むことを説いています。著者の一人、リード・ホフマン氏はLinkedIn(世界最大級のビジネス特化型SNS)の創業者。同社を含めシリコンバレーのハイテク新興企業コミュニティーで、どのように“働く人と企業のアライアンス”が成立しているのか、今回は日本の労働社会にも大いに参考になる本書のエッセンスを紹介します。
リード・ホフマン、ベン・カスノーカ、クリス・イェ(著)、篠田真貴子、倉田幸信(翻訳)
※クリックすると紀伊國屋書店のページに移動します
双方に「自己欺瞞」があり、相互に信頼を置けない
「企業のために忠実に働くなら、見返りに終身雇用を提供しよう」。一昔前には、米国でもそうした雇用モデルが成立していたと本書は指摘します。しかし、株主資本主義の台頭、コミュニケーション革命やビジネスのグローバル化の急速な進展により、1950年代、1960年代の「安定」は、急激で予測不能な「変化」に取って代わられました。
比較的安定していた時代に最適だった終身雇用モデルは、現在のネットワーク時代には硬直すぎ、昔ながらの出世の階段は米国企業には今やほとんどみられません。また、競争上の圧力に対応するため、多くの企業は組織の柔軟性を高めようとしました。雇用関係を家族的なつながりを含んだものから、契約書に明記された取引関係に矮小化したのです。
そうした変化の結果、企業側は社員に忠誠を求めながら雇用保障など何の約束もせず、社員側も企業への忠誠を語りながら、常により条件のいい雇用機会を探すようになりました。双方に「自己欺瞞」があり、お互いにそれを見抜いているから、相手を信頼できなくなっているのです。
自立したプレーヤー同士が結ぶ、提携関係
企業と社員が互いに信頼できないという状態を脱するため、本書は両者の関係を見直すべきだといい、雇用を「アライアンス」だと考えることを提唱しています。自立したプレーヤー同士(雇用主と社員)が互いにメリットを得るため、期間を明確に定めて結ぶ、提携関係のことです。
企業と社員は対等であるべき
アライアンスという関係には2つの特色があります。1つは、関係を結ぶ「両者が対等」だということです。かつての日本企業(一部の企業ではいまだにそうかもしれません)は、働く人のキャリアについて、すべてを企業に委ねることを求めました。「どこで、どんな仕事をするかは企業が決める。言うことを聞けば、雇用保障など悪いようにはしない」といった上下関係です。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
中途採用
2016.01.20
2016.01.27
2016.02.24
2016.03.02
2016.03.17
2016.03.30
2016.04.14