日本を代表する企業がその存続を危ぶまれたり、外国企業に身売りといったニュースは、もはや珍しくなくなりました。企業が別法人に買収される時、その人員がどうなるかは大きな問題です。特にシャープの買収においても40代以上の雇用が危ぶまれるなど、正にキャリア危機を考えざるを得ません。
・40代以上はいらない
すっかりニュースでも報じられまくったシャープの買収ですが、今その買い主と目される台湾の企業・鴻海の郭会長は「40歳『未満』の従業員の雇用は守る」と宣言したそうです。これはいわば「40代以上の雇用は守らない」との宣言だということで、シャープの成り行きは他人事ではありません。
同じく経営が危機的状況にあるといわれる東芝でも、7000人とも1万人ともいわれる規模の人員削減が検討されているとの報道があります。かつて日本を代表する企業だった東芝もシャープも、これだけの人員を支えきれなくなっている事実は、「中年のキャリア」が、これまで以上に深刻な問題になっている実例といえます。
生き残る企業でも安閑とはしていられません。日立やパナソニックでは年功制賃金体系廃止を検討するとして注目されました。滅私奉公で若い内は低賃金でも、年を取ってからの昇給でモトが取れるはずだった、日本的経営の柱・年功序列は崩れてしまっています。
・リストラされてから生き残る道は・・・・・無い
再就職支援に携わってきましたが、リストラというものはある日突然やってくると思う人が多いことに驚きます。全く何の予兆もなく、突然呼び出されてリストラ勧告を受けるということが、全くないとは言いません。しかし本稿で例示している企業は、日本を代表する大企業ではあるものの、経営不振については相当以前から報道されています。
社外の一般人ですら報道で理解しているようなことを、当事者としてどううけとめていたのでしょうか。企業業績が悪化するプロセスで、ボーナスが減ったり昇給が減ったり、あるいは新規事業が中止されたりなど、その予兆は何らかの形で出ているはずです。また業務に真剣に取り組んでいれば、市況の悪化や取引先の状況変化、環境変化なども、むしろ経営陣より先に感じ取れることがあっても良いくらいです。
リストラは突然やってくるのではありません。そこに気付かずにリストラされたという状況下では、残念ながら限りなくキャリアの選択肢はなくなります。つまりリストラされた後生き残ることは限りなく難しいのです。
・リストラは予防できる?
21世紀の今でも、完全な治療法が見つからない病気はあります。リストラされても生き残ることは、現実にはきわめて厳しいという点で対応は無理です。しかし少しでもそうなる可能性を排除することなら実行可能です。つまりリストラ対策とは、リストラされないよう日頃から準備しておくこと以外に対策はないのです。
中年が危機
2016.02.02
2016.02.17
2016.03.16
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。