「就活・後ろ倒し」など、瑣末な問題である。
もう一つは、雇用の流動化を進めることだ。現状は、特に正社員にとって退社・転職のリスクが高すぎるので雇用が固定化してしまい、企業も個人も活力を失いがちである。学生だってそのリスクを認識しているから、最初に入社する会社の選択に必死にならざるを得ない。能力や適性やキャリア、あるいはそれぞれの事情に応じた転職情報が豊富に提供され、マッチングが行われる大きな労働市場を作る。同時に、解雇の金銭解決ルールの整備、定年退職制度の禁止などで、企業による人材の囲い込みや労働者の会社へのしがみつきを減らしていく。失業期間が生じた場合の保障や教育訓練も整備する。そうして、学生たちが将来的に前向きな転職、転職によるキャリアアップが可能だと思えれば、新卒のときの会社選びに今ほど必死にならなくてもよい。
要するに、就職活動のスケジュールやルールを変えても何の効果もなく、雇用制度改革を進めない限り、就職活動(採用活動)が学生の学業や大学での諸活動の邪魔をし続けるのである。
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新卒採用
2015.07.29
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NPO法人・老いの工学研究所 理事長
高齢期の心身の健康や幸福感に関する研究者。暮らす環境や生活スタイルに焦点を当て、単なる体の健康だけでなく、暮らし全体、人生全体という広い視野から、ポジティブになれるたくさんのエビデンスとともに、高齢者にエールを送る講演を行っています。