畳は日本固有の文化です。人々の記憶の中にある限り、畳がなくなることはないのでしょう。
今日、9月24日は「畳の日」です。
制定した全国畳産業振興会によれば、4月29日と9月24日の年に2回あるため、正しくは「秋の畳の日」です。
新しいマンションなどでは畳の部屋が減っているようです。確かに畳は表面が変色したり、痛んでささくれ立ったり、手入れが必要なのでつい面倒に思いがちです。ベッドやソファなどの洋風な家具を入れるには向かなくても、仕方なく和室に家具を入れてしまうと、くっきりと跡が残ってしまって模様替えがしづらくなります。和室不要という人がいても仕方のない面もあります。
もともと畳は日本固有の敷物で、その歴史は古事記にまでさかのぼるそうです。平安時代には、板敷の部屋に座具や寝具として置くという使い方をしました。雛飾りでお内裏さまが座っている、あの一人用の畳のイメージですね。この時代は、使う人の身分によって畳の厚さやへりの柄・色が異なりました。
鎌倉時代から室町時代にかけて、部屋全体に畳を敷きつめる使い方になりました。畳は貴族や武士の富の象徴だったそうです。桃山時代から江戸時代に至るなかで、数奇屋造や茶道が発展して普及し、徐々に町人の家にも畳が敷かれるようになりました。江戸時代中期以降、ようやく庶民が使用できるようになりました。そういえば時代劇では長屋にも畳が敷かれています。
現代では、畳を敷き詰めた和室は減ったかもしれませんが、畳製品は進化しています。
畳表はイ草だけでなく変色しない紙製なども一般的になりました。へりのデザインも、タイガースのロゴマーク入りやキティちゃん模様など様々なものが出回っています。畳ベッドや畳ベンチなどの家具もあります。洋室で暮らしていても、暑い夏場は畳ざぶとんや昼寝まくらのようなイ草製品を使うと熱がこもらず快適です。
畳にはどこか郷愁を感じさせるものがあります。畳の上にごろんと横になって縁側からの風に吹かれて昼寝をしたり、海辺の民宿のちょっと古びた畳のうえではしゃいで暴れまわったり、そんな風景が目に浮かびます。フローリングのマンションで暮らしていても、ふと、真新しい畳のあのイ草の香りがなつかしくなります。こんな風に誰かの記憶にある限り、畳がなくなることはないのかもしれませんね。
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