地方の広告業界の迷走と堕落の真相!!!

2015.08.11

営業・マーケティング

地方の広告業界の迷走と堕落の真相!!!

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

福岡市は、今後20年に渡り人口が増え続ける唯一の都市だと言われている。戦略特区にもなった。そんな地方都市の雄である福岡の広告業界が迷走している。福岡でこれだから、きっと全国的な由々しき現象であるはずである。メディアにリアリティがあふれ過ぎている現在、地方の広告人は、何を想うべきかなのか?

①JR博多シティ ウルトラバーゲン


②新天町 冬の超常バーゲン


③イムズ イムズのバレンタイン


上記3点は、福岡を代表する流通施設のいまの広告である。それぞれに、アイデアはおもしろのだが・・・タイムスリップをしたかのようである。何年前の手法だろうか。何かを放棄したようにしか思えない。メディァの中のリアリティには勝てません。すいません。敗北宣言にしか見えない。

ウルトラの母に、マリックに、リリーフランキー・・・。極論にもほどがある。結局、目立たないと広告じゃありませんからねというヤケクソなロジックしか見えてこない。こんなこと書くと、お前もいっちょかみしているだろうが?という業界内の声が聞こえてくる。ハイ!いっちょかみしています。当事者であるからこそ危機を感じているわけである。この極論合戦の先に、ホント何がある?怖い!


答えがないから極論を選択する!

作家である町田康氏は、講演会で「ここ数年、人間の種類が減ってきている気がする」「”いろんな人がいる”ということを許せない人が増えて、多様な人間観が排除されている」という言葉を残している。

叩く側か叩かれる側か。自民か反自民か。原発には賛成か反対か。その極論の戦いを煽った方がマスコミは視聴率がとれる。発行部数が伸びる。そうやって正しい思考は奪われていく。

広告の世界も同じである。広告で成果を出すことは難しい。なんかよくわからなくなってきた。その答えとして極論なわけである。目立つことが広告よね。認知を上げることが広告よね。申し訳ないが、それは、脳みその堕落である。

戦略とは、「戦い」を「略す」ことである。大衆とは、右でも左でもない。極論を自ら発することができないのが多くの消費者である。「戦い」を「略す」ためには、そのグレーである消費者の機微を掬い取りファンにしていく戦略が必要なわけである。極論に、戦略はない。誘導である。無駄な闘いである。

クライアントの皆様も、広告代理店のみんなも、グレーを選ぶ正しい理屈と勇気を持たないから・・・極論ばかりのダサい広告が採択されるわけである。びっくり過ぎるくらいリアリティがなさすぎる。時代錯誤である。エアポケットになっている。


優秀な若い人材が入ってこないのは当たり前!

福岡の広告業界の社長さんたちとの最近の話題は「良い若手が入ってこない」「若い人材が育たない」そんなことばかりである。しかしである、こんなダサい広告を出し続けている福岡の広告業界に、優秀な人材が留まるとは、やっぱり思えない。福岡の広告業界を我が物顔で闊歩するオッサン達にリアリティがなさすぎるのである。自業自得である。

次のページ地域の広告賞とか、いまや果たして必要なのか?

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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