新卒就活後ろ倒し元年の2015年8月1日は、経団連加盟企業など、多くの企業で公式採用開始日です。ちなみにこの後ろ倒しですが、大学からも企業からも就活学生からも大不評のようです。 採用活動(=学生から見れば就職活動)のクライマックス、8/1とその後がどうなるか、今年の採用動向含めて考えてみましょう。
・「超」長期化する就活
新卒学生の就職活動は、昨年まで「12月広報解禁、4月選考開始」だったものが、2015年から「3月広報解禁、8月選考開始」と変更されたことが、今回の「後ろ倒し」です。しかし採用など関係者ならご存知ですが、この変更は単に時期がずれただけでなく、巧みに長期化されています。つまり「12月広報解禁、4月選考開始」と広報が5ヶ月間だったのに対し、「3月広報解禁、8月選考開始」と今年は6ヵ月間に密かに延長されています。
さらにこの就活時期の変更は経団連の申合せであり、法律でも何でもない取り決めなため、「就活時期を守る企業」、「守らない企業」、「表面上は守っても裏で守らない企業」、「そもそも経団連と関係ないので守る気もない企業」というように、対応はバラバラです。学生も採用担当者も、こうした混乱の中、必死でゴールに向かっているのです。
・「8/1」という日
8/1とは、「経団連指針を守る企業」が「選考を開始」する日です。選考を開始する日ならどうってことないと思うかも知れませんし、実際に3/1の広報活動解禁日をボンヤリ迎えてしまった学生は多数いました。よほど一部の超売り手市場大学、いわゆる有名一流大学の学生以外は完全に出遅れ、今現在も必死までまだまだ内定を得られていない者もいくらでもいます。
8/1は選考開始日といっても、すでに水面下ではさまざまな選考の準備が進んでいます。OB訪問や事業説明、業界説明などの機会を設定し、実際にその会社の社員と学生が接する時間を設け、すくなくとも目星を付ける下準備は行われていることがすくなくありません。したがって、今、新卒採用をしている企業は、皆この8/1にどれだけ学生をキープできるかでしのぎを削っているのです。8/1に自社に呼べなければ、そのような「欲しい学生」はライバル社に行っているかも知れません。ちなみに8/1は土曜ですが、休日だろうと何だろうと、この日は何が何でも囲い込みできるよう、採用担当者はたいへんなご苦労をされています。
・8/1以後
では万一、8/1に計画していただけの学生を確保できなかったらどうなるでしょう?どんな有名企業であっても内定を蹴る学生はいます。問題はその数(比率)でしょう。今年は後ろ倒し元年のため、ベンチマークとなる数(比率)がありません。会社の上層部からは「一人も逃すな」と厳しく命を受けているかも知れませんが、現実問題として8/1に現れない内定者はいることでしょう。ではそれでもはや今年の採用はあきらめるべきでしょうか?
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人事課題
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。