世の中にある「折角なのに惜しい!」シリーズ、今回は半インスタント食品の包装。特に調理中や作業中に封を切ろうとすることが多いのに、封を切るのに苦労するようなスープ/ソースの小袋は厄介だ。小さな袋の小さな不満でも、度重なると購買に影響する。
「当社は食品の安全と味、品質とコストのバランスに力を入れている。パッケージのデザインならともかく、スープやソースの小袋の開けやすさなんて、いくら頑張ったってそれで製品が売れるわけじゃない」。確かに製品が売れる要素にはならないが、商品に対する不満要素にはなるし、そのせいで販売のブレーキになることはあり得る。
事実、小生も何度か同じ目(封の切り損ないによる失敗)に遭った商品は多少憶えていて、そのブランドの商品は買うのを避けるようにしているし(哀しいかな、半年もすると忘れてしまい、同じ商品を買ってしまい失敗を繰り返したことはありますが)、妻にも伝える。
包装の開けやすさというのは、調理中や作業中に封を切ろうとする傾向にある製品に共通する注意点ではあるが、こうした小さな不満に対する改善をどれほど真剣に考えてくれるかは業界によってもメーカーによっても千差万別だ。
少なくとも加工食品の包装に関しては食品メーカーというより包装メーカーに責任が帰され、しかも一般的にはコストが優先される。小袋の封の開けやすさなどというマイナーな点については、お世辞にも「よく工夫されている」とは言いにくいのが実情のようだ。
それと対照的に、この「包装の開けやすさ」というものについてよく考えられている加工食品の代表が、日清食品のカップヌードルだ。
そもそもカップの中にスープ粉がまぶしてあり、いちいちスープ小袋の封を切る必要がない。その上、カップ全体を覆う透明プラスチックの薄い包装が簡単・確実に開けられるよう、引っ張って裂け目を入れるためのシールがカップ下側に取り付けられている。そのシールは湯を入れたあとに蓋を閉じる際に使えるようになっている。なんと合理的な、と感心するつくりだ。
カップ麺という特殊な製品だからこそできる側面もある(事実、日清食品の他の製品にはスープ小袋がついてくるのが普通だ)が、この製品には「真の手軽さ」「消費者の戸惑いをなくす」というコンセプトが添えられているように感じる。手軽さと味もあって、我が家では他のカップ麺を差し置いて「保存食」として幾つか常備している(なぜか時折消費されるので買い足しますが…)。
これは最初に挙げた「半インスタント食品」ではなく純粋な「インスタント食品」だが、包装にも気を掛けると客離れしにくいことを証明しているような気がする。
最後になったが、一部の加工食品メーカーはこの「スープ小袋の開けやすさ」に関し解決策をすでに見出しているようだ。ある袋入りのラーメンだが、明らかに他のメーカーの製品と違って、スープ小袋をほぼ確実に手できれいに開けられ、しかも斜めに割けにくいようになっている。
これに気づいてからは、小生はそのメーカーの商品を買うようにしている。もちろん味も気に入っているからである、念のため。
業務改革
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
