デフレ時代には、若い人材を安くこき使うしか能のない企業がのさばっていたが、これからは違う。
一部の外食チェーンで採っている方策が、他社・他業界でも参考になるかも知れない。
外食チェーン・東京レストランツファクトリーでは実業団バスケットボールチームと劇団を所有している。働きながらバスケを続けたい、または演劇を続けたい人材を確保することを思いついたわけだ。
また、居酒屋を運営するチムニー(株)では、それまで髪を染めることは厳禁だったが、客が不快にならない程度ならOKとしたところ、一挙に2倍以上の応募があったそうだ。若い方は「今のうちにおしゃれを楽しみたい」という気持ちが強いのだ。集まったアルバイトの人たちは明るく積極的な人材で、店に活気をもたらしているそうだ。
もっと汎用的かつ本質的なのは、ユニクロのファーストリテイリングやうどん・そばチェーンのグルメ杵屋が採用した方策だ。それはパートやアルバイト店員らを、短時間勤務・非転勤を想定した正社員とすることだ。
社会保障費負担を勘定に入れると確実に人件費は大幅アップするが、安定した雇用関係によりスタッフの忠誠心、ひいてはサービス品質が目立って向上するし、それまで空回りしていた採用に絡むコストは相当圧縮できるようになるので、トータルで考えればお薦めだ。
でもこうした手段がどうしても難しい店や業種もあるだろう。実際、正社員を募集しても集まらない中小企業は昨今少なくない。
ではどうすべきか。今後若い人材はどんどん減っていくのだから、継続可能性を考えるならば、若い人材にこだわらなければいいのだ。
50~60代の中高年でもできるように作業を楽にすること。子供が学校に通うようになって少し手が空くようになった主婦でも分担できるように時間帯をより細かく分けること。接客は無理だけど他の人が嫌がる単純な仕事を黙々とこなせる自閉症の人材を、ぴったり合った業務にアサインすること。
「今までこうやっていたから」といった固定観念を捨てれば、実行できることは少なくない。働きたい人はまだまだ世の中に沢山いる。
それと、忘れてならないのは、今すでに働いてくれている社員やパート・アルバイトスタッフに対する労働条件・環境の改善だ。
いくら採用数を増やしても既存スタッフにどんどん辞められるようでは、ザルで水をすくうようなもの。その過程で「ブラック企業」と見なされたら、先の企業例と同様、働き手から見放され、企業成長は夢のまた夢だ。
http://www.insightnow.jp/article/7833
経営・事業戦略
2015.06.01
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
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