不可欠なのは道路インフラの維持管理コストの抑制であり、そのために必要なのは住民ボランティアと、優先度づけを判断するための点検の自動化・効率化だ。
前者は、他の公共インフラ(地域の寄り合い所や鉄道駅舎、公園など)の維持管理に関して既に一部の自治体で実施されている手段で、ある程度の有効性が認められている。
掃除や簡単な修理など、できることは地域住民が自ら行うというものだ。老朽化が進んで壊れかけているとか標識などが破損しているなど、問題がある外観部分をスマホで撮った画像データを役所に知らせてくれるだけでも大いに助かるわけだ。
ボストンでは”Citizens Connect”の名称で2009年から導入されている仕組みだが、その有用性に惹かれ、今やマサチューセッツ州の他の市・町に拡がっているそうだ。
http://www.cityofboston.gov/doit/apps/citizensconnect.asp
もう一つはより専門的な対策だ。優先づけを判断するためには、道路や橋梁などの施設の状況を日常的および定期的に点検する必要がある。その方法は国交省などにより定められており、従来は主に目視・打診に依存していたが、これをよりハイテク化することだ。
既に路面状態を保守車両に搭載した専用機器で撮影し、その画像データを解析するシステムは、道路建設や測量関係の民間業者各社から出されている。走行しながら道路を打診する専用車もあれば、道路において陥没の恐れがある箇所を、内部を破壊することなく診断する技術も進歩しており、さすがハイテクの国・ニッポンと感心する。
特に崩落時に引き起こされる問題のインパクトが大きい、橋・トンネルの老朽化を早期に把握できる手法の開発・確立が早急に求められている(日本では笹子トンネルでのパネル崩落事故の衝撃が大きかったようだ)。
例えば省電力型のセンサーを橋梁の幾つもの個所に設置することで老朽化の進行を自動的にモニタリングする仕組みや、非破壊で内部構造を診断できる中性子など光量子技術の研究や実証実験が進んでいる。そしてこれらにより計測されたデータを収集・解析するのにも民間のICT技術への期待が大きいところだ。
しかしいずれも難点がある。
まず画像データを収集するために保守車両を日常的に走らせる手間やガソリン代がばかにならない。範囲が限定される高速道路には有効だが、一般道路だと対象が広過ぎて効率的ではない。そもそもそんな高価な専用の測定・診断機器やシミュレーション・管理システムを導入する余裕は普通の地方自治体にはない。
むしろ先に触れた、住民からの通報を活発化する、通報があった箇所をより効率的に突き止める、といった部分での工夫を組み合わせることが求められそうだ。その上で、入手可能な範囲でハイテクをうまく活用することだ。
経営・事業戦略
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/