柏市の連続通り魔事件は警察の頑張りで、発生から2日で逮捕という幕切れになった。でも今のままでは捜査陣が後手後手に回る構造は改善されない。公共の街頭防犯カメラだけでなく、街頭を映す位置にある民間の防犯カメラも併せてネットワーク化し、犯罪捜査にとってより有効な仕組みにして欲しいもの。
事件発生直後に、該当する地区にある公共の「街頭防犯カメラ」と民間の防犯カメラを併用して駆使すれば、犯人の足取りをかなり素早く絞り込むことができるだろう。場合によっては周辺の警官を緊急配備することもできるかも知れない。初動捜査の機動性と正確性が各段に高まり、事件解決速度が一挙に高まるのは間違いない。
なぜこうした提言をするのかというと、ボストン市とニューヨーク市の事情の違いが念頭にあるからだ。ボストンマラソンの爆破事件の容疑者(人物は特定されず)の画像は3日後に公開され、その夜には逃走しようとした犯人が車を強奪したために尻尾を出し、警察との銃撃戦が展開された。マラソン会場にいた人たちが撮ったビデオ映像や、周辺の官民の監視カメラの映像をかき集めて分析したとのことだが、全くネットワークされておらずバラバラなので、解析にも時間が掛っている。
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それに対し元々天下一の犯罪都市だったニューヨークでは、無数にある監視カメラがネットワーク化されている。公共のだけでなく、かなりの数の民間の監視カメラもつながっている。おかげで、街頭で犯罪が起きたらNY警察がすぐに現場の様子を把握して、逃走する犯人をトレースできるようになっているそうだ。これが検挙率の大幅アップにつながっており、ひいては同市での犯罪率が急低下した主要因の一つにも挙げられている。
もちろんこうした治安対策に対しては、すぐに「プライベートの侵害が心配だ」という反論が声高に出るだろう。でも考えてみて欲しい。もう既に公共の場所のあちこちに「防犯カメラ」という名の監視カメラは設置されている。民間施設でも、コンビニに限らず既にそこらじゅうに設置されている。つまり元々家やオフィスの外に出たら、我々のプライベートの空間は非常に限られているのだ。官民でネットワーク化することで、さらにプライベートの侵害が進むというのは合理的な指摘ではない。
それらの防犯/監視カメラが真の防犯のために有効に活かされるようにすることは、設置されていること自体で多少気分を害することの代償として、むしろ市民が要求してもよいことではないだろうか。日本には優秀で勤勉な警察官と世界一の「顔認証」技術などがあり、失いつつある「近所の目」を補う仕組みさえあれば、都会でも防犯レベルを高く維持できるはずだ。
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/