仮説の「検証」と「修正」を繰り返すサイクルをいかに早くできるか。その「スピード」と「大胆さ/割り切り」が無駄足を減らし、検討プロジェクトへの信頼度を増す。
以前の2つの記事で幾つか仮説の「検証」事例をお伝えした。今回は、「想定した仮説が違っていた際にどう修正していくのか」を中心に、ある事例を使いながら(差し障りのない範囲で)ご紹介したい。
実際の戦略策定や業務改革の構想策定といった「(超)上流工程のプロジェクト」においては不透明要素が多いため、初期仮説通りに最後まで進むことは稀であり、ある程度は仮説の修正が生じるのがむしろ普通だ。ポイントは、いかに素早くしかも正確に仮説の誤りに気付き、いかに素早く大胆に修正を掛けられるかである。
この事例のクライアント企業は大手素材系メーカー。社会インフラ向け資材の製造事業を思い切って伸ばす戦略の策定が求められた。同事業に乗り出してまだ2年程度、実質的には新規事業の性格を帯びていた。主顧客は地方自治体である。
競合の大半は中堅メーカーもしくは地場の中小メーカーであり、同社の体力と技術力をもってすれば早々に市場制圧ができるはずだった。しかしシェアは一向に向上せず、利益も出ていなかった。そのため担当部門の意見を取り入れて、デザイン力で差別化するための「研究所」まで少し前に設立していたが、どうも確信が持てないというのが依頼時のクライアント・トップの認識だった。
我々コンサルタントチームが持っていた初期仮説は、「営業戦略的には自治体のインフラ計画部門への食い込みがキーポイントになるため、地元代理店(他事業部製品の取扱が主だが、本事業でも協力)への教育と支援を手厚くする」「事業戦略的には(クライアント想定の通り)デザイン力の強化は重要だが、それに加えて技術力からくる品質の違いを数値的にアピールする(ために計測可能にする)」というものだった。
しかしいざ顧客インタビューを重ねると、前者の仮説はほぼ合っていたが、後者の仮説は結構ズレていたことが判明した。
当時の自治体の多くは、観光面への影響から「デザイン重視」を唱えてはいたが、そのデザイン要望たるや素人である自治体幹部の思いつきにより左右されるものだった。つまり「デザイン強化」よりもむしろ「自らのデザインへのこだわりの少なさ」や「デザイン変更への柔軟性」が最も求められていたということだ。
しかしクライアントのデザイン研究所長にフィードバックすると、「知っていましたよ」とこともなげに言う。現場では既に対応しており、最初に雇った美術大学出身者ではなく、今や顧客要望をいち早くCAD化するためのエンジニアが中心になっていたのだ。問題は、この件に関してはとっくに(体制変更という)手を打ってあるのに競争力アップに結びついていないという事実だった。
経営・事業戦略
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
