教育の新しい手法として、最近話題になってきた感のある「反転授業」。 その課題と、課題解決の切り口などについて整理してみました。
1.子どもがどこまで意欲を持って予習に取り組むかだ。教材の魅力を高めることがカギを握る。(以上、引用)
上述しましたが、僕自身の学習スタイルが予習型だったわけですが、全ての子どもがやれていたかというと、決してそうではありません。
皆さんの経験上もお分かりかと思うのですが、予習に取り組んでいる子ども・生徒は「できる子」に分類される人たちなんです。
だから、反転授業の導入を疑問視する人の声では
・できない子はそのやり方についていけないのでは?
・学力格差が余計広がるのでは?
などがよく聞こえてきますし、その懸念はおっしゃるとおりだと思います。僕自身の経験上もよーくわかります(笑)。
一方、「いま」の方が、子どもたちが意欲を持ちやすい環境が整いつつあります。
それが「タブレット教材」というツールなんだと思います。
主体性を育むタブレット授業~千葉県立袖ヶ浦高等学校~でも述べましたが、タブレットそのものが生徒の主体性を育むことに寄与する側面があると感じるんです。
もちろん、タブレットそのものは触媒に過ぎませんが、僕の小中高時代よりも、予習に取り組む意欲に寄与する「道具」が追加されたことは、課題解決に近くなったと捉えることができます。
2.低学年ほど、大人が映像を見るよう促す必要があり、保護者の協力が欠かせないことだ。家庭環境の厳しい子どもには、放課後に学習の場を設けるなどの工夫が要る。(以上、引用)
ここでも、疑問視する声の中で
・保護者のしつけや、学習の関与度の差がさらなる学力格差を生み、学校のクラスでの授業がより難しくなるのでは?
という声が聞こえてきますね、これもその通りの部分はあるかと思います。だからこそ朝日新聞のコメントでも「家庭環境の厳しい子どもには、放課後に学習の場を設けるなどの工夫が要る。」とあるんですよね。
一方、反転授業…云々は別にして、「家庭学習への保護者の協力が、いまの社会的温度感のままで良いか?」という問題があります。
もちろん「いまのまま良い」という意見もあるでしょうが、僕は「もうちょっと、保護者が家庭学習を支援しませんか?ちょっとした協力を低学年からしておくことで、将来の学力形成に大きく寄与しますよ」という意見です。
やや古いデータですが、平成17年の家庭学習時間のデータ(文科省資料)を見ても、学力の高低と家庭学習時間には相関がありますし(まあ、アタリマエですよね…)、僕が注目したいのは、その相関が、小学生→高校生になるにつれて著しくなる、という点。
小学校低学年のうちから、単に「(家庭学習を)やっている」だけではなく、「(家庭学習を)進んでやっている」という状態を形成することで、学習が習慣となり、将来に渡り、学力形成に寄与する家庭学習に取り組める人間になることが期待できるのではないだろうか、と。そしてこれはとても大切なことなんではないだろうか、と。
保護者の協力、といっても、なんでもかんでも関与する、ということではないですよね。これについては、保護者の「家庭学習支援力」のモデル(ベネッセ)がとてもキレイに表現しています。
余談ですが、勤務先のZ会の小学生コース、とくに1年生・2年生のコースは、保護者が協力する「シカケ」をつくり、自然な形で支援するシーンを創ることで、学力形成に大きく寄与させようとしています。
話を反転授業に戻します。「学力形成に、家庭学習における保護者の協力は大切だ」の立場に立てば、「タブレット教材」ができることによって
・子どもが進んで勉強するようになり、わからないところで保護者に「進んで」声をかけたくなる心理醸成が期待できる
・そのシーンの繰り返しで、自然に保護者が家庭学習の支援をするようになっている状態が形成できると期待できる
という部分が、以前よりは増すと思うんです。
後編に続きます。
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