顧客経験価値あるいは、カスタマーエクスペリエンスという用語が最近頻繁に使われるようになった。総論は正しいが、「顧客価値」と「顧客経験価値」は何が違うのか?顧客満足度は「顧客価値」と「顧客経験価値」はどう違うのか? 「顧客経験価値の向上」と「企業収益の拡大」の因果関係は? そのような疑問を論理的に解説する。
NPSの考え方は非常にシンプルで、しかも納得感がある。お客様に対して以下の2つの質問だけを実施する。
質問1:当社のことを友人に薦める可能性はどれくらいありますか?
質問2:そのスコアをつけた主な理由は何ですか?
たったこれだけである。そして質問1の結果を、0~10の段階でつけてもらい顧客を以下に分類する。
9,10レベル:推奨者
7.8 レベル:中立者
0~6レベル:批判者
そしてNPSとは推奨者(プロモーター)の比率から批判者の比率を差し引いた値なのだ。
そのNPSを最も重要な指標としてモニタリングして対策を練るという手法である。
9,10が推奨者というのは少し厳しいようにも感じるが、単純に顧客数を増やしていく、すなわちマーケットシェアを拡大していくということでなく、「推奨者」を増やすということに注目して、その為の施策に落とし込んでいくことができれば、価格だけに訴えての売上拡大というような一次的な施策に頼ることなく、永続的な競争力獲得につながるという考えで、納得性は高い。
それでは、この推奨者達は他の顧客とどこが違うのか。
■「心の満足」と「頭の満足」
推奨者とは自社のことを積極的に友人に薦めてくれる顧客である。したがって、満足度レベルが非常に高いことは理解できる。しかしその満足度の質に関しても推奨者とそれ以下と顧客ではどこか違うものがあるのではないかという仮説が考えられる。
これを立証してる調査データがある。The Gallup Organization, Princetonの調査で、「リテール銀行の顧客流出率」と「クレジットカード会社年間利用額」を「心で満足した客」「頭で満足した顧客」「不満足の顧客」別で調査したデータである。
この調査結果で言えることは、「心で満足した顧客は圧倒的に企業の収益に貢献している」ということである。そして特に注目なのは、「リテール銀行の顧客流出率」の結果で「頭で満足した顧客」は「不満足の顧客」よりも顧客流出率が高いという点である。
想定するに、頭で満足、すなわち論理的に満足した顧客は他社のいい商品やサービスが出てくるとすぐに離反していく、ということなのだ。
以上のことから、NPSレベルの9.10である「推奨者」はおそらく、満足度も「心で満足」している顧客ではないかということが館枯れられる。同じ満足度レベルでも、心で満足した顧客が「推奨者」になる可能性が高いと解釈すべきであろう。
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2009.02.10
2015.01.26