日本経済を取り巻く環境が変わっているのにも関わらず、過去の成功体験から抜け出せないのであれば、自発的にルールを見直す他ないのではないかという観点から。
上場企業やその子会社・関連会社向けの「社内規程の見直し」を支援していますと、「規程」というものは社内業務を硬直化させる厄介なものだと理解している企業が多いことに気付かされます。
「ルールで雁字搦(がんじがら)めにすることは不利益になる」ということを指摘されることも少なくないのですが、本当に雁字搦めにするほど社内ルールを作りこんでいるのかというと、実際はルールを作るとそれに従い「創造的なことができなくなる」という思いこみであるケースも少なくありません。
規程を作る時に、業務プロセスと関連する法令を結びつけて構成しているのであれば確かにそうなのですが、実際には、なんらかの必要性に従い、規程サンプルをそのまま導入していることが多いため本当の「規程」の意義についてはあまり検討がなされることはないのかもしれません。
ここでお伝えしたいことは「規程」に定めるべきは、確かに社内ルールではあるのですが「硬直化させるミニマム(な)マネジメント(マイクロマネジメントのような好みとは異なるもの)のネタ」ではなく「変更管理の約束事」であるということです。
グローバルな事業展開を行うにしても、国内の縮小する市場で事業を拡大するにしても、変化していく環境に対して、適宜、柔軟な事業戦略が求められます。
しかし、この事業戦略が本当に実行可能なものなのか、ビジョンやミッションのような計画に基づかない「想い」のレベルなのか、事業計画まで落とし込まれて変更すべき事項が発生しているものなのかを明確にしなければなりません。
そして、これらを実行に移す際には「違った事」をやらなければならない場合、その「違った事」を実行するためのルールが必要になります。この意義づけが「規程」の役割だと考えるわけです。
簡単に言えば、責任を取るべき人を明確にして、実行者を明確にして、その際に発生する「変更点」及び「変更プロセス」を会社のルールとして定めておくということになります。
『今、当社には変革が必要です』と話す企業が増えているようですが、その変革方法を「教育」や「マネジメントスタイル」で実行するのではなく、「変更管理」や「責任」によって確実に実行する時期に来ているのではないかと考えています。
誰も責任を取らない事業で儲かることはありません。かといって、誰かがクビになるような責任の取り方では、特に日本企業においては長期的な戦略が描けません。
このような状況で、会社に変革をもたらすものは「規程」を含む社内文書体系を見直し、社内の業務プロセスを明確化して、個々人の責任の下で新たな事業戦略を展開することではないかと考えています。
規程体系
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