コンプライアンスやガバナンスが叫ばれる事件・事故が数多く報道されていますが、実際に海外にある拠点を管理する上で、企業は何をどこまで対応すればよいのか。 数回に分けて考えていきたいと思います。
ギリシヤの財政問題から一気に円高ユーロ安の展開になり、私の会社もフランスのパートナー企業から価格の再交渉の依頼を受けている状況ですが、日本経済そのものが外需によって左右されている中で、海外での事業展開を適切に行っていくためのガバナンスはとても重要になります。
そこで、今年に入って問い合わせを頂くことが多くなった、海外子会社の管理を含めた規程体系整備について、親会社の立場、子会社の立場でそれぞれ考えていきたいと思います。
1.親会社(日本国内)から考える規程体系
そもそも何故、社内規程を体系化して管理しなければならないのかを考えてみますと、まずは会社法に定められている以下の条文が関係してきます。
会社法 第348条3項4号
取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
そして、その他の条文や法令を見ていくと、以下のものも影響してきます。
民法 715条 使用者責任
会社法 381条 監査役の権限
会社法 433条 会計帳簿の閲覧
会社法施行規則 第二章 子会社及び親会社 に掛かる条文
結果として、取締役が担うべき経営責任を社内で共有・分担するためには、法令に従った会社としてのルールを正しく定めておく必要があるということになります。
1.1.親会社が守るべきものは財務リスクだけではない
民法の使用者責任の考え方を踏まえるならば、子会社の不祥事に対して親会社の管理責任は避けられないのですが、海外子会社は子会社としてその設置拠点における国内法に基づくルールが必要です。
あくまでも日本国内にある親会社は、日本の国内法に従って経営していくことが求められますが、海外子会社の事業継続上のリスクをどこまで想定して管理していくのかを明確にしていく必要があります。
よって、子会社管理規程には、その管理すべきポイントを纏めたものとしなければなりません。
極端に言えば、子会社の事業継続上の財務リスクさえ見ていれば、会社法に対応するためのガバナンスは一応守られるということも言えなくもないのですが、実際問題としては、子会社が内部留保を勝手に運用して失敗したとか、親会社が望まない会社と提携をしてしまったなど、知らなかったでは済まされない様々な課題も出てきます。
こういった問題は、ガバナンスの範疇ではなく、コンプライアンスの問題ですので、親会社は自社の方針や事業計画に基づいたルールを海外子会社の国内法と照らし合わせて徹底する必要性も出てくると考えられます。
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規程体系
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