「社内規程は入社した時に見て以来、気にしたことが無い。」なんてありがちなフレーズが、経営者の望む組織変革を大きく妨げているという事実は意外と重要なポイントなのです。
上場企業の規程体系整備を支援している中でいつも気になることは、この規程を社員のどれだけの方々が認識しているのだろうかということです。
本来、規程は事業継続に必要な様々な法令を受けて、社内の業務を管理していくために制定されるものですが、実際には、事業方針や事業計画を受けて組織や事業、業務プロセスが変更になっても、あまり見向きをされません。
しかし、事業計画が前年度から変更になるということは、すなわち社内での評価基準が変更になったということでもあります。
これは、社内での評価基準が変わっているわけですから、評価されるべき行動や規範を変更しなければならないということであり、それを明文化できるものは、社内規程に代表される社内文書(各種通達)や、経営陣から各部門に発信される文書ということになるはずです。
◆ 事業計画の修正を実行に移すための方策
では、会社の枠組みを定めている規程類が修正されていない状況で、各種通達がなされた場合、社員は即座に行動を変化させることができるのでしょうか。
一般的に考えれば、事業方針・事業計画が変更になった場合、成果基準や評価基準が変更になるわけですから、人事評価に反映されるべきものとなります。しかし、人事評価は長年の修正を経て完成しているものであり、単年度の事業計画によって即座に修正がされるものでもありません。
通常であれば、人事評価基準は2年~5年に1度変更されている程度のもので、どちらかというと普遍的な要素に若干の数値評価基準を組み合わせて作られていることが多いのです。
ということは、新興国を含めた経済環境の変化や、それらの国々に本拠地を置く競合企業の経営活動に対して、会社の変化・変容を後押しするための枠組みはどこにあるのかということを一度は考えておく必要があります。
◆ 規程はただのルールだけれども…
社内規程は、業務遂行上のただのルールブックです。
確かに、ただのルールブックではあるのですが、経営を強化していくために必要なものは、事業計画を作りこむことでも、方針を変えていくことでもなく、経営環境にあった会社組織に変化させていく社内のルール作りにあります。
よって社内業務で何をすべきで、何をすべきではないのかを明確に定めることができる社内規程を修正していく過程で、会社全体としての変化をコントロールしていく必要があります。
組織を変更し、フラット化し、人件費を圧縮し、業務を効率化するという行為を20年近く続けてきても、これまで経営陣が望むほどの社内の変化が生まれていないのであれば、それは社内の「商習慣」が支配する雰囲気の方が勝っていたということになります。
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