無能大臣とさんざん馬鹿にされる田中防衛大臣。社員が過労死して有罪判決を受けたワタミの渡辺会長。人物の良し悪しではなく、コミュニケーション能力の視点だけで見てみました。
つまりネット炎上に打てる手は静観しかありません。何を言おうが後の祭り。少なくとも渡辺会長の、自己弁護としか取られない「労務管理できていなかったとの認識はありません」のような発言は、この結果を呼び込むのが必然だと覚悟をしてするべきでしょう。そうした対応が出来ずに会長に危険ツイートさせてしまったワタミは、広報戦略、コーポレートブランド戦略が欠けていると言わざるを得ません。
小説「青年社長」から続く渡辺会長のさわやか路線は、実は嫌いではありません。しかしコーポレートコミュニケーション、コーポレートブランディングは、「晴れの日」ばかりではないのです。こうした炎上のようなどしゃ降りでも会社をやめる訳にはいかないのです。さわやか路線はここに弱みがあります。
その対極がドロ臭い「田吾作スタイル」です。
鈴木ムネオ氏が選挙で泣きながら土下座したり、田んぼに革靴のまま入って行ってお婆ちゃんと握手したり、田舎政治家が白い目で見られながらやるアレですね。
史上最低・無能な防衛大臣と呼ばれる田中直紀氏は、大臣就任以来、失言だお詫びだバカだコーヒーだとけちょんけちょんです。でも前任者や他の省庁の大臣で、もっと短命だった人もいます。
田舎政治家だの田吾作だの、田舎者差別もたいがいにしろ!とお叱りを受けるかと思います。しかしこれ、全部褒め言葉です。
「田吾作スタイル」とは、アメリカのプロレスで日本人レスラーが演じる、下駄ばきや地下足袋にニッカボッカや膝丈タイツという「悪役記号」のことです。グレート東郷や本当は日本人じゃないキラー・トーア・カマタとかの日系レスラーは、こうした無様な服装で反則の限りを尽くして結局正義のアメリカ人レスラーに退治される、という役割を演じました。田吾作スタイルには、プロレスの予定構造をきっちり演じられなければ出来ないスマートさが必要なのです。近年ではマサ・サイト―や谷津嘉章等実力派が演じることで、「田吾作」は逆に実力者のスタイルにさらに逆転したりしていますが。
鈴木ムネオ氏も田中大臣も、私はそう見られることがわかっていて演じるスマートさを持っているのではと思っています。チラリとでも自身の頭の良さを見せたらこの演出は終わりです。田中大臣に至っては、説教する石破元防衛大臣が逆に悪い評判が立ってしまいました。すごい逆転ジャパニーズ・レッグロール・クラッチですよね。(注:プロレスの逆転フォール技)
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株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。