アップルストアの生みの親として、「ジーニアス・バー」など画期的なサービス・モデルを世に打ち出した米国リテール業の導師ロン・ジョンソンが老舗デパートの再建に乗り出した。果たして起死回生はあり得るのか?
アメリカでは年々「デパート」という業態が振るわなくなり、業績の停滞を見せています。それでも、ニーマン・マーカスなど高級感を売りにしたところはまだ良いのですが、一番苦しいのは、J.C.ペニーなどかつて「庶民のデパート」として親しまれてきたお店でしょう。これらの店はデパートならではの高級感やイベント性に欠ける反面、価格や品揃えではウォルマートやターゲットなどの量販店に及ばない、という実に中途半端な存在になってしまっています。
「優れた立地、莫大なマーケティング予算、広々とした売場など、デパートは競争に有利な条件をすべて備えている。零落してしまったのは、何かが根本的に間違っているから」というのはジョンソン氏の談。先に述べた価格戦略のほかにも、デパートの中を魅力的なブランドのミニ・ショップをテナントとして取り揃えた市場のようにする、また、顧客が集い、くつろいだり、催しものを楽しんだりできる「タウンスクエア(街の広場)」をフロアの中央に設けるなどといった作戦を打ち出しています。
個人的には、シアーズやJ.C.ペニーなど規模の巨大な老舗リテーラーにとっては、「すでに遅し」という気がしないでもないのですが、この「小売業の導師」がどのような魔術を見せてくれるのか非常に楽しみです。普段はJ.C.ペニーとは縁遠い私ですが、近々ひとつ覗きにいってこようかと思っています。
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ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。