「お客さまのため」という言葉を連呼する方ー 本当にお客さまのことを考えているのでしょうか?
「お客さまのため」
誤解を恐れずに言えば、余り好きな言葉じゃありません。
正確に言えば、この言葉自体は無味乾燥のものなのですが、最近の「顧客満足」という言葉の広がりによって、「お客さまのため」と言う言葉を連呼し、批判口調で話す行為が好きじゃない、ということになります。
僕にとって、企業が「お客さまのため」を考えるのは、企業人としてアタリマエのことです。
言葉にするまでもないこと。
もちろん、「そうした方がお客さまのためだよねえ」みたいに、軽い会話に出すこともありますが、「お客さまのためにこうするんだ!」みたいな「姿勢表明」までするような言葉じゃないでしょう。
だって、アタリマエのことですから。
逆に言えば、トップが強い姿勢表明までしている企業は、まだそこまでできていない、(お客さまへの姿勢が)発展途上の企業であることがほとんどでしょう。
参)「アタリマエ」についてはこちらの記事でも言及しています。
とくに、次の2つの場合において、「お客さまのため」を自らの口で発する行為は、僕にとって説得力がなく聞こえてきます。
※評論の理解の正確性を期するため、あくまでも次の例は、各場合を「第三者」として見ているとき、と思ってください。
1.お客さまの立場の人間が、会社に向かって「だってそれをするのがお客さまのためでしょ?」のような口調で話す場合
この言葉を用いている「お客さまの立場」の人間は、「お客さまのため」といいながら、「自分のため」を置き換えているだけのような気がします。
何か自らが大そうな損害を被って、憤りを表明するときに、とっさに出るのであれば仕方ない言葉かもしれませんが、単なる「不満」を表明するときのセリフとして表明しても、説得力を持つように聞こえません。
さらに、「そんなこともできないなんて信じられない!」みたいな言葉を伴う場合がありますよね。
公共性を伴い、他サービスへのスイッチィングが難しいサービスならいざ知らず、信じられなきゃ、そのサービスを使わなきゃいいんです。
余談ですが、企業が「クレームは宝」と言うのは、そのクレームの中に「~してほしい」が眠っているから、ですよね。
つまり「お客さまのため」という言葉に隠れた「(自分が)~してほしい」という欲求を読み取ると、サービス改善につながる、というわけで。
2.ある部署の人間が、他部署の人間に対して「え、そんなこともしてなかったの?やる方がお客さんのためなのに!」と批判口調で話すとき
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