先週、ローソンが節電対策でユニフォームをエプロンに変更することを例に、事業、オペレーション、製品、サービスをもっとシンプルに提供する方法がないかを考えることが効果的という話をした。シンプルにできるのはユニフォームのような単純なものだけではない。いや、複雑な先端機器こそ、シンプルにしていかなければならない。今回はリコーが開発したカラー電子ペーパーを例に、製品のシンプル化による効用について見ていく。
■ 品質、信頼性向上
意外に思われる方もいるかもしれないが、部品点数の削減は、品質、信頼性の向上にもつながる。設計がシンプルになるため設計不良が減り、部品ならびに工程も減るため、故障や不良が発生する箇所そのものが減る。また、管理点数が減るので、工程や調達先の品質、信頼性管理もしやすくなる。
■ サプライリスクマネジメント
東日本大震災でにわかに注目されるようになったサプライ(供給)リスクだが、製品は一つの材料、部品の供給が止まればすべてが止まってしまうので、部品点数が減ることは、サプライリスクの発生箇所の減少に直結する。また、品質、信頼性向上と同様、管理点数が減ることは、調達先の供給体制の管理やトラブル時や災害時の調達先の復旧支援もしやすくなる。
今回開発した電子ペーパーを、リコーは、13年には電子書籍端末などの機器メーカにサンプルの提供を始めるという。電子書籍端末などの先端機器では、新しい分野だけに部品・素材がこなれておらず、どうしても部品点数が多くなってしまう。このような分野こそ、新しい技術の活用などにより、部品点数を減らす余地が続々と出る領域である。
設計に携わっている方には釈迦に説法の話だが、実例を見ながら考えると改めて部品点数の削減の効果の大きさには驚かされる。部品点数の削減とそれを支える技術・サプライヤの開拓というのは、設計・調達業務に携わる者にとっては、永遠のテーマである。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
環境調達.com
2011.07.02
2011.06.24
2011.06.21
2011.06.10
2011.06.05
2011.05.30
2011.05.20
2011.05.12
2011.04.28
株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます