経営、マネジメントに携わる者にとっての最近の関心事の一つに、東日本大震災後、調達品の需給バランス、サプライチェーン(SC)がどう変わるのかというものがある。正直、現段階で答えがある訳ではないが、今回は、それを見極める上での参考になりそうなペットボトルのキャップ共通化を例に、その方向性について考察する。
一方で、幾ら供給リスクが減るからといって、サプライヤやイノベーションへの影響を考えると、今回のような非常時の対応を除き、法制や規格でペットボトルのキャップの統一を図るべきものではない。規格であれば、まったく違う競争を持ち込むことで回避するという抜け道がない訳ではないが、そうなれば、サプライヤ間に過度の競争を強いることになり、体力のある所しか生き残れなくなってしまう。そうした市場ではサプライヤの寡占が進んでしまい、イノベーションは減り、中長期的にはコスト高となってしまう。
何れにせよ、中小企業では、今回の震災ならびにその後の生産の落ち込みに耐え切れずに廃業に至る所も出ており、その流れはこれから更に増え、サプライヤの集約が進むものと見込まれる。
ペットボトルのキャップの共通化、サプライチェーンが、被災工場の復旧後、どうなるかは買い手企業各社の動向もあり、まだ分からない。また、サプライチェーンの進む方向は材毎に異なるが、少なくとも、これまでの延長線ではいかないだろう。今言えることは、そうしたサプライヤや競合他社の動きによる中長期的なサプライ市場の動向と、自社のサプライチェーン戦略の方向を見極め、適したサプライチェーンを築かなければらないことが各社の調達・購買部門に共通したこれからの課題ということだ。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
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