東日本巨大地震が発生して以降、懸命の復旧作業が続いておりますが、未だに復興への大きな道筋や、シナリオ、さらにはこれからの日本のあるべき姿などの青写真が見えてきません。 政府関係者は、今こそ「マーケティング」を学んで、「顧客」である国民に「ホールプロダクト」を示してください。
例えば、ゴルフ場でプレーするのも、ボールを打つのが目的ではなく、友達と楽しく自然の中でプレーを楽しみ、もっと親交を深めたいということが目的であったりします。
ここで、今、日本国民は政府に対してどんなホールプロダクトを欲しているのでしょうか?
筆者の勝手な考えで以下のようなホールプロダクトをデザインしました。
「コアプロダクト」は、マズローの欲求五段階説で言われる「欠乏欲求」である安全の欲求からきています。 行方不明者の救助と放射能汚染の拡大を食い止めて原発を安定した状態にし、津波や地震の二次被害から解放され、ライフラインが復旧し当面の衣食住が満
たされた安全な環境の提供などであろうかと思います。
「期待プロダクト」は、その上で、日本全体の電力需給不足や物資の偏在を解消すべく十分な発電供給能力や流通・物流網の回復がなされ、製造業も生産再開を開始する状態、いわば安心できる環境の
整備・提供でありましょう。
「拡張プロダクト」は、その上で、日本の産業・経済・金融状況や国民生活が震災前の状況に復帰し、海外から観光客や資本、ビジネスマンなど多く戻ってきて、活況を呈することではないかと思います。
「理想プロダクト」は、この震災から日本全体が世界と一緒になって一致団結して見事復興し、その経験やノウハウ・知見を生かして、震災や津波災害、次世代エネルギー政策などの分野を中心に世界の平和と安定に貢献し、尊敬と信頼を得る国になることです。
さて、マーケティングでは、このホールプロダクトをデザインし、発信すればそれで終わりではなく、時間と共に市場が推移していくにつれて、それぞれ四つのプロダクトを市場に出していくタイミングを検討しなければなりません。
タイミングを間違えると、ホールプロダクトは市場から受け入れられません。
まず、最初の「コアプロダクト」は、初期市場に提供され、その対象は、通常極めてセグメンテーションされた狭い市場セグメントのピンポイントの顧客に対して集中的に提供します。今回の地震の場合、被災地への集中提供となります。
その後、市場が時間と共に推移し、メインストリーム市場と呼ばれるマス市場に移行するにつれて、提供する顧客の対象領域を広げて、ホールプロダクトの層を外側に拡大していきながら提供します。
今回の場合「期待プロダクト」は、首都東京を含む東日本地域の市民と企業群となり、「拡張プロダクト」は、日本国民全員であり、最後の「理想プロダクト」は、日本の復興と世界の安定を願っている全世界の国々の政府や組織、人々となります。
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