レアアースの中国依存からの脱却に、110社が総額1,100億円を投じる。当面、コスト削減どころかモノを確保することすらままならない厳しい環境が続く一方で、一早くそうした厳しい環境を認識し、手を打つべく調達に投資している企業もあるのも事実だ。 「2010年の週間 戦略調達から2011年の調達・購買業務を展望する」の号でも述べたが、やはり、今年は、調達・購買に投資できるか否かで、経営の成否が大きく分かれる年になりそうだ。
「各社の取り組みは政府の補助方針を受けたもの。一連の投資を通じて、年約3万トンに及ぶ中国産の消費量のうち、3割にあたる約1万トンを削減する。(参考:日本経済新聞 2011年2月25日 1面)」
取り組みはレアアースの使用量の削減やリサイクル、供給国の多様化、レアアースの使用量の削減や供給国変更に対応した新しい部品の検証など。
「コニカミノルタホールディングス子会社はガラス研磨剤の酸化セリウムを効率よく使う新設備を導入。日立金属はネオジム磁石の製造工程で出るくずをリサイクルするための融溶炉を導入。三菱商事、大同特殊鋼、専門ベンチャーのインターメトリックスは連携し、電気自動車などのモータに使うネオジム磁石の生産で、ジスプロシウムの使用量を4割減らす新しい事業を立ち上げる。(出所:同上)」
「三井金属や日本重化学工業は、日本国内に合金に加工する設備を設け、加工設備が整っておらずこれまで輸入先となりえなかった米国や豪州から原石の状態でレアアースを調達する。(参考:同上)」
「レアアースの使用量を減らしたり、原産国を変更すると成分が異なるため、使用した製品の性能や品質に影響が出る可能性がある。トヨタやホンダ、日産自動車、クレハなどは、こうした新しい部品の試験・評価設備を導入する。(参考:同上)」
昨年の後半よりレアアースの取引価格は高騰を続けている。「磁石原料のネオジムなどは昨年末比で30~60%上昇している。中国は昨年、資源保護などを理由に輸出許可枠を09年比で4割削減。秋には尖閣諸島問題を背景に対日輸出が一時停滞した。(参考:日本経済新聞 2011年2月25日 3面)」「レアアースの使用量を減らしたり、原産国を変更すると成分が異なるため、使用した製品の性能や品質に影響が出る可能性がある。トヨタやホンダ、日産自動車、クレハなどは、こうした新しい部品の試験・評価設備を導入する。(参考:同上)」また、中国政府は「レアアースの安定供給を梃子に、日本の部材メーカの誘致を進めている(出所:同上1面)」日本のレアアースの輸入量は中国からが9割を占めており、中国政府はこうした日本の中国への依存体質を見透かし、ゆさぶりを掛けているのは間違いない。
調達・購買において、代替の調達手段がないのは致命的だ。サプライヤの突然の値上げや、事故や災害、政情不安で供給が停止した時に、なす術がない。
限定的な供給元に過度に依存しているのは、レアアースだけではない。原油、石炭、鉄鋼石、食糧など様々なものがある。そして、それらの多くの価格が、高騰や高止まりを続けている。
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週刊 戦略調達
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます