「週刊 戦略調達の2010年の記事を振り返り2011年を占う」記事投票にご協力頂いた方、ありがとうございました。 今号では、投票結果から、2011年の調達・購買業務とそのマネジメントの方向性を展望する。
こうしたことを鑑み、2011年の現実的な経営の前提を考えると、資源高、先進国市場におけるハーフエコノミー、円高による輸出の苦戦、というのは認識しておかなけねばならないだろう。
■ 2011年は組織的な調達・購買能力が明らかになる年
これまでのビジネスの延長では、資源高によるコスト上昇と国内市場低迷による価格転嫁の困難、先進国市場のハーフエコノミーならび円高による輸出の苦戦による売上の低迷が見込まれる。唯一有望と思われる新興国向けのビジネスは、求められる価値やコスト構造がこれまでのビジネスと大きく異なっている。
このような環境の中では、組織的な調達・購買能力の差が如実に明らかになる。国内・先進国市場においては、売上の低迷とコスト高が見込まれるが、価格転嫁が容易にできる状況ではない。
そうなると、当然、着目されるのはコストの低減だが、鉱物、原油、農産物など様々な資源の価格上昇、高止まりが続いており、それが短期的に収束する気配はない。
リーマンショック後の2年間は、ほとんどあらゆる分野で需要が大きく落ち込み、誰もが安価にモノを入手することができた。しかし、その間にサプライヤの生産調整や淘汰が進み、業種毎にバラつきはあるものの、需給のバランスが引き締まってきている。サプライヤも利益の確保に必死になっており、無理に売上を追いかけること、値付けで譲歩することが少なくなっている。
この様にサプライヤが強気な環境では、コスト低減どころか適正な価格の維持さえも相当な努力がないとなしえないのではないか。加えて、資源ナショナリズム、中国の人件費上昇、アフリカ・中東での民主化の動きなど、安定供給を脅かす不安定要素が数多く潜んでいる。
2011年は、コスト低減、安定調達の二つの面で、組織的な調達・購買能力の巧拙により結果が大きく左右される年になるのではないかと予想される。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます