WWFジャパンとグローバル・フットプリント・ネットワークとの発表によると、日本人は、現在の所、地球2.3個分に相当する消費をしているという。 我々はこの数字をどう受け止めるべきだろう?
となると、消費水準の高い我われこそ、いかに自分の消費を地球1個分の水準に近づけていくかを考えなければならない。たとえば、同報告書では食品廃棄の改善が挙げられている。日本のエコロジカル・フットプリントの67%は個人から生じており、その内、食品廃棄が全体の36%と最も大きな項目となっている。食品廃棄は外食産業やコンビ二などの店頭のものが問題として認識されつつあるが、これら流通過程とほぼ同等の量が家庭からも出ていることはあまり知られていない。農林水産省の食品ロス統計調査報告によると、家庭の食品ロスの過半が皮のむきすぎや脂身の除去などの過剰除去から、残りは食べ残しや期限切れなどによる直接廃棄から生じているという。これならば、ひとり一人の工夫で改善できそうだ。
また、我われは企業人としても貢献することができる。環境負荷のよりかからない素材、プロセス、サプライチェーンで製品・サービスを提供していけば、一人ひとりの消費ghaを引き下げることができる。そんな製品・サービスこそ、グローバルに積極的に展開していこう。そうすれば、地球全体で地球1個分の消費量で済む社会を構築できる。少ない資源で生産・廃棄物を吸収する技術を開発すれば、地球1個分のghaを引き上げることができる。生活でも仕事でも、我われにできることはまだまだあるのではないか。
力のある者が、その力を自分の権利・立場を守るのに使うのではなく、それをより力のない者を助けるために使う、それがリーダーシップというものだ。我われは、他の多くの国々の人と比べれば、どの地位にあるものであっても高い知識・技術を持ち、豊かな生活を享受している。そうした地位にあることを考えると、一人ひとりがリーダーシップも併せて持たなければならない。
弊社のようなベンチャー企業がエコロジカル・フットプリントなどと言っても世の中の大勢に影響はないかもしれない。それでも、目先のことだけを考えて仕事をしていてもジリ貧になるだけであり、社会に対して何らかの価値を提供する仕事の方があまり儲からなくてもワクワクする。人生も仕事も、苦しい環境にあっても、その中で楽しみを見つけた方が耐えられる。
尚、エコロジカル・フットプリントは優れた概念だが万能ではない。まだまだ開発途上で限界もある。たとえば、対象資源が農林水産物とCO2排出量に限定されている。水資源や鉱物資源の使用についての環境負荷については含まれていない。生物多様性の問題についても対象外だ。では、指標に含まれていないから、これらの問題について考えなくてよいというのは本末転倒だ。指標管理を行う時には、指標が見落としている事も忘れてはならない。それでも、環境負荷には様々なものがあるということを意識しているだけ、エコロジカル・フットプリントは優れものだ。
次のページざっくりと農林水産物とCO2排出量だけで見ても、我々は...
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます