厚生労働省によると、現在、約3割の男性が「育児休業を取得したい」と希望している一方で、実際の取得率は1.72%にとどまっているという。この、男性の育児休業取得率を10%まで引き上げる、というのが少子高齢化対策を進める厚生労働省が掲げている目標である。
「客先訪問や社内会議などの日程調整で、周囲に負担をかけていること。皆、在宅勤務の予定日を避けて調整してくれようとする。また、自分から誰かに相談したいときにも気を使う。在宅勤務だとオフィスにいる相手の様子がわかりにくく、気軽に声をかけられないから。逆に言うと、周囲にも同じように気を遣わせてしまっているはず」。
もし仕事で絡む同僚のほとんどが朝倉と同じように在宅勤務を利用していれば、そのような状況にも理解が得られて「お互い様」と言い合える。しかしアシストの中で在宅勤務利用者は全社的にはまだまだ少数派。そのため、朝倉は次のような工夫をしているという。
「自分と相手の在席確認のために、コミュニケーション・ツールである“Skype”を活用。始業時には、最初にSkypeのグループ・チャットで挨拶を交わし、一日の予定を伝える。昼休憩など、まとまった時間席を外すときも必ずチャットで伝えてから休む。また、何か相談したいときにも、Skypeで在席を確認し、グループウェアで相手の予定を確認したうえで連絡をとるようにしている」
「在宅勤務の予定日でも、客先訪問や社内会議の予定を最優先し、その旨を周囲にも伝える。在宅勤務は別の曜日にも差し替えられるので、極力自分の側で調整するようにしている」
こんなふうにして朝倉は、在宅制度を最大限に利用するために周囲に負担をかけないようにしているが、その気配りにも増して得られる在宅勤務のメリットを次のように語る。
「自宅の書斎で集中して仕事ができるため、個人ワークにはもってこい。なのでタスク管理面では、提案資料や報告書の作成など、個人ワークを在宅勤務日に充てるよう調整している」
アシストでは、“柔軟な勤務体系”として、朝倉が利用している週一日の在宅勤務制度とともに、週4日勤務制度がある。在宅勤務を利用している社員は800名中30名弱いるが、週4日勤務の方は給与が減るという条件もあるせいか今のところ利用者はいない。
トッテンが「柔軟な勤務体系」を言い出したのは、2007年。今後も経済の縮小が続く可能性があるが、いかなる状況になっても社員の解雇は絶対にしない。しかし一人ひとりの年収を減らさざるを得ない状況になれば、その分、自分たちで食べる野菜を家庭菜園で作る、など、お金を払って誰かにしてもらっていたことを自分たちでできるようにすれば良い。「年収6割でも週休4日」という“生き方”をすれば、たとえ収入が減っても社員はより健康的で幸福な生活ができるから、というのがトッテンの考えである。
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