目新しい話ではないが、Dellの「信じる道をいこう」というキャンペーン、上手くやっている。今回は、このDellのキャンペーンを題材に、貴社が無料で広告宣伝してもらった上で、対価がもらえる機会があることを紹介する。
大手企業は、こうしたベンチャー企業、成長企業の貪欲な姿勢に学ぶべきではないか。買い手企業は、もっとサプライヤの広告宣伝に協力した方が良い。
サプライヤの広告宣伝に協力して貴社が失うものは何だろう?
サプライヤに媚びてまで、PRの機会やキャッシュリターンを得ようとするのは浅ましいのだろうか。実際に広告を見て、そういう穿った見方をする人は少ない。日本では金儲けに貪欲であることを蔑む傾向があるが、ビジネス、商売は金儲けだ。金儲けに貪欲であって格好悪いことなどある訳がない。金儲けに貪欲であることが格好悪いのは、それが中途半端であったり、倫理無視であったり、法律違反であったりする時だ。自分で使って良いと思ったものを良いと勧めるところのどこにやましい所があるだろう(人に勧めるほどではないと思う商品・サービスはこの限りではない。)
確かに、そのサプライヤが他の企業に対してヘマを犯す可能性はある。その点については、協力にあたっては、貴社がサプライヤの商品・サービスを保証するものでないことを広告宣伝利用時に明確にすること、それによって他社と問題が生じた時には、広告の即刻差し止め、貴社への損害の防止にそのサプライヤをして努めさせること、貴社に損害が生じた時には、その賠償をすることなどを協力の条件とすればよい。
ただ、貴社が満足しているサプライヤであれば、こうした問題を起こすことは少ない。既に、そのサプライヤの実力を貴社は評価している。それで問題がなかったのであれば、この機会を存分に活用することを考えた方が良い。
サプライヤがあなたに協力してもらいたいのは、新聞の全面広告のような大きな話ばかりではない。お客様事例のパンフレットの作成であったり、ホームページのインタビュー掲載、会社紹介資料に一言「私もこの製品を使っています。」というような細かい話かもしれない。
ところが、これがサプライヤにとっては細かい話どころか、大きな話だ。サプライヤにとって、こうした協力が得られる機会はなかなか少ないので、サプライヤからは非常に感謝される。開発案件であれば、これが成功すれば、更なる広告宣伝の機会が見えているので、それが貴社の案件に注力する大きなインセンティブになる。
サプライヤの広告宣伝に協力することは、買い手企業が思うほど、リスクがある訳ではない。ルール、倫理を守った上で収益を上げることに企業が貪欲であるのは、賞賛こそされ蔑まれるものではない。自分が良いと思ったものを良いと他者に勧めて、PRの機会を得る、キャッシュベネフィットを得る、サプライヤのモチベーションを高める、誰もが得をする、こんな機会はもっと活用すべきだ。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます