良い問題提起だと思いますので、コンサルタントが大好きな「戦略」という言葉の意味を考えてみたいと思います。民主党参院選を例にとってみましょう。
いやいや、トータルで議席減らしてるんだから、「票の掘り起こし」に失敗してるじゃん、という指摘もあるでしょう。しかし日本の選挙は80年代の社会党マドンナ旋風、90年代の細川連立政権、昨年の政権交代と、すべて「風」だよりです。今回の風は完全な逆風であり、みんなの党以外には風は吹かなかったと言えるでしょう。
選挙前に散々流れた「選挙予測」を思い出して下さい。恐らく次回の選挙もそうだと思います。「形勢は○○党有利、しかしまだ態度を決めていない有権者が5割で最大のため、結果はまだわからない」必ずどんな予測でもこのフレーズがついてきました。
これが「風」です。結局風は吹いて終わります。かつて社会党は「山が動いた」と言ったものの、結局自民党は揺るぎない存在感をその後もずっと維持し続け、社会党マドンナはほとんどその次の選挙で消え去りました。細川連立政権は首相自ら政権を投げ、連立政権も終わりました。
民主党が組織票を開拓しようとした結果が出ていないという批判は正しいと思います。しかしそれは戦略が失敗したのではなく、組織そのものが、宗教団体などを除き、成り立ちにくい社会になっているということではないでしょうか。
このように「戦略」も「勝ち」も、その定義によるのです。公平で世界が統一できる定義と言うものは、学問的にはあるのかも知れませんが、ほとんど意味は無く、その戦いの当事者であるご自身がお決めになれば良いと言えます。
私はケンカに負けたことがありません。なぜなら負けるケンカは最初から乗らない、逃げるからです。戦わない限り負けはあり得ません。こんなへ理屈だって「不敗」神話だと、言ってしまえば良いのではないですか。
「戦略」や「勝ち組」等の言葉が踊る時には、その意味するところが何であるか、今回のご質問のように立ち返る、振り返ることはたいへん意味があると感じます。意味もわからず流行り言葉を振りまわす行為が何と軽いことか、古老の私は思います。
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株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。