弊社では、この度、日本の調達・購買業務の現状と課題を明らかにする調査を行い、結果を「2010年ストラテジックソーシングベンチマーキング調査結果」として先週発表しました。 調査結果につきましては、発表資料をご覧になって頂ければと存じますが、今回は、この調査から得られた日本の調達・購買をめぐる最大の問題をえぐり出します。
たしかに、経営、マネジメント不在の主な原因は経営者、マネジメントにあります。とはいえ、何もせず座して「調達・購買部門、担当者の地位向上を」と唱えているだけの部門、担当者にもその非はあります。
結局、この問題の根本は経営者の調達・購買業務の本質に対する理解不足に帰結します。ですので、何もしなくても、突然経営者が調達・購買部門の重要性に気づいて、もしくは優秀な経営者が空から降ってきて、いきなり調達・購買部門の梃入れをするということは殆どないでしょう。
担当部門として、調達・購買の機能について、機会を捉えて経営者を啓蒙すると共に、今ある時間、リソースの中でできる限りの成果を少しずつでも出した上で、「これだけの時間、人員、投資をして頂ければ、コスト低減額を倍に、これだけあれば10倍にできます」と、具体的成果を以って、その役割、重要性を経営者、マネジメントに理解してもらう必要があります。地位は待っていれば与えられるものではなく、勝ち取るものです。また、人は理論だけではなかなか理解せず、具体的成果、実績がないとそう簡単には納得してくれません。
とはいえ、現在の日本の調達・購買機能の低迷は、経営、マネジメントのの理解不足による非の方が大きいかなと思います。今回の調査が、少しでもこの断絶を埋め、調達・購買部門に対して、正しい期待値が設定され、その機能に正しい投資が行なわれ、その結果として、その企業の損益分岐点の大幅引き下げという大きなリターンを得るきっかけになることを願います。
※今回の調査結果「2010年ストラテジックソーシングベンチマーキング調査結果」のまとめは、http://www.samuraisourcing.com/news/100708.htmlにてご覧頂けます。
中ノ森 清訓/株式会社 戦略調達 代表取締役社長
調達・購買業務に関わる代行・アウトソーシング、システム導入、コンサルティングを通じて、お客様の「最善の調達・購買」を実現することにより、調達・購買コスト、物流費用、経費削減を支援する傍ら、日本における調達・購買業務とそのマネジメントの確立に向け、それらの理論化、体系化を行なっている。
コーポレートサイト: http://www.samuraisourcing.com/
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます