リサイクルされたPETレジンを製造過程で用いると使用エネルギー量と温暖化ガス排出量の大幅削減につながるとの調査結果が発表されました。 その一方で、海面上昇の影響で沈みゆく国とされていたツバルの面積が増えているという情報が入ってきました。 かけ離れたように見えるこれらのトピックスですが、そこには、私たちがどのような態度で環境経営、エコに取り組むべきかについての示唆が含まれています。
ツバルにおける内陸浸水は、100年前から観察されている事実。現在、浸水がひどい場所はかつて湿地だったところに、人口増加によって、そこに人が住まざるを得なくなったことが要因とのことです。
環境省もこれらの事実を把握しており、2009年にまとめられた報告書では、
「問題は、決して『海面上昇による水没』という単純なものではない」
「環礁州島(ツバル)の危機はグローバル・ローカル両方の環境ストレスが複合したものであり、現在発生している問題は主にローカルな要因によるものである。ローカルな要因によって、今世紀予測されている地球規模変動に対して脆弱性の高い州島になってしまっている。」
とまとめています(環境省地球環境研究総合推進費終了研究成果報告書:環礁州島からなる島嶼国の持続可能な国土の維持に関する研究;平成15年度~19年度。)(出所:「ツバル写真集・地球温暖化でツバルは沈むか?」http://ncc1701d.bufsiz.jp/index.html)
簡単に言うと、ツバルの現状は、決して海面上昇という「グローバルな要因」によるものではなく、人口増加やそれに伴う生活排水やゴミの投棄などの環境汚染という「ローカルな要因」が、有孔虫やサンゴなどのツバルの砂浜を形成する生物を殺してしいまい、砂が生成されなくなり、海岸浸食が進みやすくなっており、将来海面上昇が進んだ場合には、その影響を受けやすくなっているということです。
つまり、ツバルの現状は、人為的な環境汚染が自らの生活を脅かす警鐘ではありますが、海面上昇による社会への影響ではないということです。
ただ、弊社がここで問題としているのは、地球温暖化により海面は上昇しているか否かではなく、リサイクルPETレジンのLCIデータの解明と、ツバルの問題を歪曲しセンセーショナルに取り上げ世論を誘導するというアプローチの違いです。
いくら人々の関心を惹きやすいからと言っても、問題を歪曲して誘導してしまうと、問題の原因や課題を誤解し、誤った解決策に右往左往するということになります。もう手遅れかもしれませんが、排水やゴミ処理の適正化や教育による人口抑制など、ローカルな要因に直接取り組むことで、より少ないコストで確実に問題を解決できていたかもしれません。
環境負荷の削減には、異なるアプローチが提唱され、どれが本当に正しいのかなかなか判断がつきません。それどころか、環境負荷削減に対する根拠のない全面的な懐疑論まで様々な識者から飛び出す始末です。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます