リサイクルされたPETレジンを製造過程で用いると使用エネルギー量と温暖化ガス排出量の大幅削減につながるとの調査結果が発表されました。 その一方で、海面上昇の影響で沈みゆく国とされていたツバルの面積が増えているという情報が入ってきました。 かけ離れたように見えるこれらのトピックスですが、そこには、私たちがどのような態度で環境経営、エコに取り組むべきかについての示唆が含まれています。
米国とカナダのPETプラスチックの業界団体であるNAPCOR(The National Association for PET Container Resources)が、長い間求められていたリサイクルPETレジンのライフサイクルインベントリー(LCI:製品の製造、輸送、使用、廃棄といったライフサイクルの各段階でどれだけの環境負荷を掛けているかの明細)データについての新しい調査結果を発表しました。
当調査によると、リサイクルされたPETプラスチックのレジンを容器の製造過程で用いることにより、たとえば1ポンドのリサイクルPETフレークの場合で、PET容器製造に必要なエネルギー量の84%削減、温暖化ガス排出量の71%削減と、使用エネルギー量と温暖化ガス排出量の大幅削減につながるとのことです。
この効果を2008年の米国でのPET容器のリサイクル量に当てはめると、同量の未使用のPETレジンを使った時に比べ、米国の平均世帯で31万7千戸分の年間使用エネルギー量に相当する約30兆Btu(英熱量)のエネルギー使用が削減されていたことになるとのことです。この使用エネルギー量削減に伴う温暖化ガス排出量の削減は、11百万tのCO2(二酸化炭素)の削減にあたり、18万9000台の自動車の排出量に相当するとのことです。
ちょうど、この環境負荷削減において正しい意思決定ができるよう、科学的に地道にデータを積み上げるニュースが飛び込んできた時に、それと対をなすかのように、まったく別の情報が入ってきました。
「ツバルの面積が増えている」
温暖化による海面上昇の影響で沈みゆく国とされ、政治家や芸能人が大挙しておしよせ、「ツバルを救え!」と大号令が掛かっているツバルの面積が、欧州からの援助機関で運営されている研究機関SOPACの中心的研究者アーサー・ウェッブ氏によると1984年から2003年までの20年間で17島の面積は、海岸線の移動などによりヘクタール近く(2.8%)増えているとのこと。(出所:「私がツバルで見た真実」イースクエア会長 木内孝氏 オルタナ18号)
環境省職員から財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)に出向している岡山俊直氏によると、2009年時点までのツバルの海岸侵食や内陸浸水は、地球温暖化による海面上昇以外の要因がほとんどとの事。
ツバルにおける海岸侵食は、砂浜の砂が波によって流される自然現象であったり、第2次大戦に米軍が埋め立てた土地が削れられているだけとのこと。特に、波の作用による砂浜の侵食は、一方で島の別の箇所では砂を堆積し、砂浜を広げている。つまり、海岸が侵食されているのではなく、波の作用によって、島の形を変えているということ(面積としては上記から増えていることが伺える)。
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株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます